点検
ビルや施設の浄化槽について保守点検・法定検査や清掃の概要を解説

浄化槽は建物の汚水を処理するための設備で、処理能力の維持などを図るため定期的な点検・清掃をするよう法律で定められています。しかし、点検・清掃についてあまり把握できていない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ビルや施設の浄化槽で、どのような点検・清掃が必要かを解説していきます。
浄化槽に必要な点検・清掃
浄化槽に必要な点検・清掃は大きく分けて以下の3種類があります。
- 保守点検
- 清掃
- 法定検査
さらに、法定検査には、「設置後等の水質検査」と「定期検査」の2種類があります。
浄化槽の管理者は、浄化槽法や環境省関係浄化槽法施行規則などの法令に従い、上記の3種類の点検・清掃を行わなければなりません。
ここからは、それぞれの点検・清掃について詳しく解説します。
保守点検

保守点検は、浄化槽が十分な汚水処理能力を保てるよう、浄化槽の状態を調べ、メンテナンスする作業です。保守点検の頻度は、浄化槽の処理方式や規模によって異なります。
浄化槽法第10条第1項では、「浄化槽管理者は、環境省令で定めるところにより、毎年1回(環境省令で定める場合にあっては、環境省令で定める回数)、浄化槽の保守点検及び浄化槽の清掃をしなければならない」と定められています。
しかし、環境省関係浄化槽法施行規則第6条で特例が定められており、浄化槽の種類によっては、より頻繁に保守点検をしなければなりません。特例の対象となる浄化槽と保守点検の頻度については、環境省関係浄化槽法施行規則第6条に表などのかたちで示されています。
また、浄化槽を設置して使い始めるときには、使用開始の直前に最初の保守点検を行わなければなりません(環境省関係浄化槽法施行規則第5条第1項)。
保守点検の主な内容には以下があります。
- 汚泥の調整
- 空気量の調整
- シーディング
- 送風機の点検、調整
- 逆流洗浄
- 水質の管理
- スカムの返送・移送
環境省関係浄化槽法施行規則第2条によって、保守点検には多くの技術上の基準が定められており、専門的な知識を持たない方が自分で保守点検を行うことは困難です。
そのため、浄化槽管理士が所属する保守点検業者に保守点検を委託するのが一般的です。当社もビルメンテナンス業務の1つとして、浄化槽の点検業務を行っています。
清掃
清掃は、浄化槽の汚水処理能力を保つために欠かせません。浄化槽を正しい使い方で使っていたとしても、ある程度の期間が経つと、浄化槽の中に汚泥や微生物の死骸がたまって、汚水処理能力が下がってしまうからです。
浄化槽の清掃頻度は、浄化槽法第10条第1項と環境省関係浄化槽法施行規則第7条によって以下のように定められています。
- 全ばっ気方式の浄化槽 6ヵ月ごとに1回以上
- 上記以外の浄化槽 1年に1回
全ばっ気方式の浄化槽は、1981年以前に設置されていた古い規格の単独浄化槽で、汚泥のたまりが早いため、こまめに清掃しなければなりません。
なお、環境省関係浄化槽法施行規則第3条によって、清掃についても多くの技術基準が定められており、専門的な知識を持たない方が自分で清掃を行うのは困難です。
浄化槽清掃の依頼先として選べるのは、市町村から浄化槽清掃業の許可を受けた業者のみです。業者に清掃を依頼する際は、浄化槽清掃業の許可を受けているか確認しましょう。
法定検査
浄化槽は、定期的に保守点検・清掃するだけでなく、法定検査も受けなければなりません。法定検査は、個々の浄化槽の設置状況や稼働状況、放流水の水質を検査して行政に報告すること、必要に応じて改善を促すことを目的としています。
浄化槽の汚水処理能力を適正に保つことを目的とした保守点検・清掃とは異なる目的を持った検査です。定期的に保守点検・清掃をしているとしても、法定検査の義務があることに変わりはないので、忘れずに検査を受けましょう。
法定検査は、検査の客観性を保つため、保守点検業者とは別に、都道府県知事が指定する指定検査機関が行うこととなっています。また、法定検査は浄化槽の管理者が依頼しなければ行われないので、指定検査機関への検査申し込みが必要です。
ここからは、法定検査として定められた2つの検査について解説します。
設置後等の水質検査
設置後等の水質検査は、使用開始後3ヵ月を経過してから5ヵ月以内に行う検査です。検査項目は都道府県によって異なる場合もありますが、おおむね下記の通りです。
検査の大項目 | 検査の小項目 |
---|---|
外観検査 | 設置状況 設備の稼働状況 水の流れ方の状況 使用の状況 悪臭の発生状況 消毒の実施状況 カ、ハエなどの発生状況 |
水質検査 | 水素イオン濃度(pH) 活性汚泥沈殿率 溶存酸素量 透視度 塩化物イオン濃度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD) |
書類検査 | 使用開始直前に行った保守点検の記録などを参考として、適正に設置されているかどうかなどについて検査 |
定期検査
定期検査は1年に1回行う検査です。検査項目は都道府県によって異なる場合もありますが、おおむね下記の通りです。
検査の大項目 | 検査の小項目 |
---|---|
外観検査 | 設置状況 設備の稼働状況 水の流れ方の状況 使用の状況 悪臭の発生状況 消毒の実施状況 カ、ハエ等の発生状況 |
水質検査 | 水素イオン濃度(pH) 溶存酸素量 透視度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD) |
書類検査 | 保存されている保守点検と清掃の記録、前回検査の記録などを参考とし、保守点検と清掃が適正に実施されているかどうかについて検査 |
浄化槽の維持管理に必要なそのほかの取り組み
浄化槽を適正に維持管理するためには、点検・清掃のほかにもさまざまな取り組みが必要です。点検・清掃とあわせて、何をしなければならないか確認しておきましょう。
ここからは、浄化槽の維持管理に必要なそのほかの取り組みについて詳しく解説します。
保守点検・清掃記録の保存
浄化槽の管理者は、浄化槽の保守点検や清掃の記録を3年間保存しておかなければなりません(環境省関係浄化槽法施行規則第5条第8項)。
保守点検や清掃の記録は、法定検査や次回の保守点検・清掃の際に、これまで浄化槽の維持管理がどのように行われてきたかを確認するために必要な書類です。
保守点検や清掃の記録は、保守点検業者や清掃業者によって作成・交付されることとなっています。受け取った記録は紛失しないように保存しておきましょう。
検査を踏まえた浄化槽の改善
法定検査で、浄化槽の状態が「不適正」と判定された場合には、検査結果書を踏まえて、浄化槽の状態を改善するために保守点検業者などと相談しながら適切な処置をしなければなりません。
保健所などから指導があるため、指導に従って改善していく必要があります。
浄化槽の点検・清掃をしないとどうなる
浄化槽の点検・清掃など適切な維持管理を行わなかった場合、さまざまな罰則が定められています。保守点検・法定検査・清掃に関係する主な罰則には以下があります。
違反行為の内容 | 罰則の内容 |
---|---|
保守点検や清掃が定められた基準に従って行われていないとして、都道府県知事に改善措置や使用停止を命じられたにもかかわらず、この命令に違反した場合 | 6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
行政庁から浄化槽の保守点検や清掃等に関して報告を求められたにもかかわらず、報告をしなかったり、嘘の報告をしたりした場合 | 30万円以下の罰金 |
設置後等の水質検査と定期検査に関しての都道府県知事からの命令に従わない場合 | 30万円以下の過料 |
また、浄化槽の維持管理が適切にできていないと、浄化槽からの放流水の水質を保てず、周囲の環境に悪影響を与えてしまいます。周囲の環境を守るためにも、定期的な点検・清掃を行い適切な維持管理をしていきましょう。
当社の強み・メリット
総合ビルメンテナンス企業である当社は、今回ご紹介した浄化槽にも携わっており、様々なビルにまつわるメンテナンス業務を一手に引き受けることができます。その他、当社には以下のような強みがありますので、ビルメンテナンスに関して何かご相談がありましたら、コニックスに是非ご相談ください。
コニックスへの問い合わせ
- 総合ビルメンテナンス企業として、建物にまつわる悩みごとはトータルでご相談をお受けすることができ、解決が可能です。
- 施設管理のベストパートナーであり続けられるよう、変化を恐れずチャレンジする文化(マインド)が根付いているため、より良いサービスを提供することができます。
- 創業(1955年)以来、長きに渡り培ってきた圧倒的な経験値(ノウハウ・スキル)を持ち、多種多様な顧客や施設利用者様から高い評価を得ています。
- エコチューニング事業所認定・エコチューニング技術者がいるため、省エネ知識も豊富で、水道光熱費といったランニングコストの軽減にも貢献できます。
- 特に愛知県においては拠点数が多く、何かあったときにすぐに駆け付けるといった充実した支援体制が整っています。