清掃
ビル管理で知っておきたい廃棄物処理法の基本を解説
ビル管理をしているなかで、適法に廃棄物処理ができているか不安になっている方もいるのではないでしょうか。廃棄物処理法は複雑なため、把握が難しいと感じている方もいるでしょう。
この記事では、廃棄物処理法の基本について解説します。ビルの廃棄物処理について知る一歩目として参考にしてください。
廃棄物処理法とは
廃棄物処理法(廃掃法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、廃棄物の排出抑制や適正な処理などについて定めた法律です。事業者は、廃棄物処理法に従い、事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任で適正に処理しなければなりません。
廃棄物処理法に違反すると、違反内容によっては5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる場合もあります(廃棄物処理法第25条)。
このように罰則が重い廃棄物処理法ですが、頻繁に改正されるのが特徴で、法令の細かな内容まで把握するのは容易なことではありません。そのため、信頼できる業者や専門家の協力を得ることが大切です。
廃棄物処理の委託について
廃棄物処理法第3条では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定められています。しかし、個々の事業者が自分たちだけで廃棄物を処理できない場合もあります。
そこで、廃棄物の処理自体は、処理業者に委託して行うことが可能です。ただし、廃棄物を排出した事業者には、廃棄物が適正に処理されているか、責任をもって管理する義務があります。
廃棄物の処理を委託したとしても、廃棄物を排出した事業者としての責任がなくなるわけではないことに注意が必要です。
ビルの廃棄物を処理する責任者は誰か
ビルの廃棄物を処理する責任者は、廃棄物を排出した事業者(排出事業者)です。しかし、誰が排出事業者となるかは、廃棄物が発生した場所や状況によって異なります。
ここからは、ビルで廃棄物が発生する個々のケースに応じて、誰が責任者となるのか解説します。
なお、以下で紹介するのは廃棄物処理法や内閣府が公開している資料をもとにした原則です。現場の状況とそぐわない部分があるかもしれませんが 、まずは原則を確認してみてください。
各テナントから発生した場合
各テナントから廃棄物が発生した場合は、それぞれのテナントが廃棄物を処理する責任者となります。そのため、原則としては、各テナントが廃棄物を適正に処理するか、処理業者に処理を委託する必要があります。
しかし、多数のテナントが入居するビルなどの場合には、個々のテナントが廃棄物処理の委託契約を結ぶのは現実的ではありません。
そこで、テナントが委任状を交付し委任するのであれば、ビルの管理者などが一括して廃棄物処理業者と契約することができるとされています。しかし、委任したからといって、廃棄物を処理する責任者があくまでテナントであることには変わりがありません。
共用部から発生した場合
ビルの共用部から廃棄物が発生した場合は、多くのビルではビルの管理者が廃棄物を処理する責任者となります。ビルの共用部から発生する廃棄物とは、分別ステーションに入れられた廃棄物や階段や廊下などを清掃した際に発生する廃棄物を指します。
ビルの建設工事に伴い廃棄物が発生した場合
ビルの建設工事に伴い廃棄物が発生した場合には、施工を請け負った元請業者が廃棄物処理の責任者となります。
建設工事を伴わないビルメンテナンスから発生した場合
建設工事を伴わないビルメンテナンスから廃棄物が発生した場合は、誰が責任者となるのかやや複雑で、ケースによります。例えば、ビルピットやタンクを清掃した際に出た汚泥を処理する責任者は、ビルメンテナンス業者ではなく、ビルピットやタンクを設置しているビルの管理者です。
通常、清掃によって生じる廃棄物は、元々あった汚れなどをビルメンテナンス業者が清掃によってまとめたに過ぎず、業者が発生させた廃棄物とは言えないからです。
しかし、ビルメンテナンス業者が大量の洗剤を持ち込んで清掃した場合などは、洗剤の汚れも廃棄物に含まれるので、ビルの管理者かビルメンテナンス業者が責任者となります。
どちらが責任者となるか判断に困る場合もあるので、業務委託契約などを結ぶ際に、どちらが責任者か定めておくことが大切です。
ビルで発生する廃棄物の種類
廃棄物の処理方法は、廃棄物の種類によって異なります。廃棄物は以下の2つに大きく分かれます。
- 一般家庭からの廃棄物
- 事業活動に伴う廃棄物
ビルから出る廃棄物は、事業活動に伴う廃棄物です。事業活動に伴う廃棄物は、大きくは事業系一般廃棄物と産業廃棄物の2つに分かれます。ここからは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物について詳しく解説します。
事業系一般廃棄物
事業系一般廃棄物は、事業活動に伴う廃棄物の中で、後述する産業廃棄物以外のものを指します。具体的には、オフィスなどで発生する紙くずや残飯などが、事業系一般廃棄物に該当します。
紙くずであっても、建設業や製紙業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から排出される紙くずは産業廃棄物です。同じ廃棄物であっても、業種によって事業系一般廃棄物と産業廃棄物のどちらに該当するか分かれる場合があるので注意が必要です。
産業廃棄物
産業廃棄物は産業廃棄物と特別管理産業廃棄物に分かれます。産業廃棄物は以下の種類に分かれます。
- 燃えがら
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
- 廃プラスチック類
- ゴムくず
- 金属くず
- ガラスくず、陶磁器くず、コンクリートくず
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
- 紙くず※
- 木くず※
- 繊維くず※
- 動植物性残さ※
- 動物系固形不要物※
- 動物のふん尿※
- 動物の死体※
- 上記の産業廃棄物を処分するために処理したものであって、これらの産業廃棄物に該当しないもの
※:業種の限定のある産業廃棄物
具体的にはオフィスで使われたプラスチック類や廃家電などが産業廃棄物にあたります。オフィスで使っていた事務机を捨てたい場合なども、プラスチックや金属でできた机であれば、産業廃棄物です。
特別管理産業廃棄物は、産業廃棄物のうち、爆発性・毒性・感染性などが高く、人の健康や生活環境に被害が生じるおそれがあるものを指します。具体的には、廃酸や廃アルカリの中でも特に腐食性の強いものや、廃石綿などが該当します。
特別管理産業廃棄物に対しては、通常の産業廃棄物よりも厳しい規制が行われているため、特別な対応が必要です。
ビルの廃棄物の処理を委託する方法
ビルの廃棄物の処理は、業者に委託する方法と、事業者が廃棄物を処理施設へ自己搬入する方法があります。ここからは、業者に委託する方法について解説します。
事業系一般廃棄物の場合
事業系一般廃棄物を外部委託で処理する場合には、ビルのある自治体から「一般廃棄物収集運搬業許可」を受けた業者と書面で委託契約を結びます。どの業者が許可を受けているかは、自治体のホームページから確認できます。
産業廃棄物の場合
産業廃棄物の処理を委託する場合には、産業廃棄物の収集運搬業者と処分業者のそれぞれと書面で契約しなければなりません。契約する業者は都道府県知事などから「産業廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物処分業許可」を得ている必要があります。
また、産業廃棄物を排出する事業者は、産業廃棄物の引き渡しと同時に「産業廃棄物管理票」(マニフェスト)と呼ばれる書類を交付しなければなりません。また、マニフェストの交付状況について、毎年都道府県知事に報告する義務があります。
委託契約書には契約終了から5年間、マニフェストにも5年間の保存義務があります。
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