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ファシリティマネジメントとは?目的や活動内容を分かりやすく解説
「ファシリティマネジメント」という言葉を聞いたことはあっても、内容をよく把握していない方は多いのではないでしょうか。ファシリティマネジメントは近年ますます重要になっていますが、ややイメージを掴みづらいところがあります。
そこで、この記事では「ファシリティマネジメントとは何か、何のために何をするものなのか」など、基本的な事柄を分かりやすく解説します。
ファシリティマネジメントとは
「ファシリティマネジメント(FM)とは何か」、FM推進連絡協議会(編集)の公式ガイドブック『公式ガイド ファシリティマネジメント』(以下『公式ガイド』)では以下のように定義されています。
「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」
出典:FM推進連絡協議会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』, 日本経済新聞出版社, 2018
コンパクトな定義で漠然としている部分もあるため、この『公式ガイド』の解説内容を補足すると以下の通りです。
ファシリティマネジメントとは、民間企業や官公庁、協会、組合などが、それぞれのビジネスや行政サービスなどの事業活動のために、施設とその環境(ファシリティ)の全体最適を目指して、バラバラにではなく総合的にPDCAサイクルを回しながら目標管理し活用していく経営活動のことです。
前提として、これまで企業や団体などはそれぞれメインの事業には注力してきたものの、事業のために活動している「場」(施設とその環境、ファシリティ)に対する意識がおろそかだったという反省があります。
より簡潔に表現すると、ファシリティマネジメントとは、「場」を戦略的に管理し経営資源として上手く活かしていく取り組みです。
ファシリティとは
ファシリティマネジメントの文脈で「ファシリティ」が意味するものを具体的に挙げると以下の通りです。
- ビル・施設などの建物・設備
- 土地
- オフィスなどの執務環境や生活環境
- 近隣や地域社会、国、地球環境などの外部環境
- 情報通信技術を利用する情報環境
このように、ファシリティマネジメントが企画・管理・活用を目指す「ファシリティ」は、単に建物や設備にとどまらない非常に広い概念だと言えます。
ファシリティマネジメントの目的
「ファシリティマネジメントは何のために行うものなのか」、見えづらいと感じる方もおられるかもしれません。
そこで、ここからはファシリティマネジメントの目的について解説していきます。
ビルや施設などの従業員・利用者にとって快適な環境を作る
「ビルや施設などで働く人や利用者にとって快適な環境を作ること」
これがファシリティマネジメントの目的の一つです。
ファシリティマネジメントによって、働く人に対しては働きやすい環境を整備し、労働を支援します。執務環境を改善すればモチベーションや生産性が向上し、組織や社会にとってもプラスになるという考え方です。
利用者に対しても満足してもらえるような環境を整備します。利用者の満足度を上げることも組織や社会にとってはプラスです。
経営では「人」はとても重要で、「ファシリティマネジメントを通して人も大切にしていこう」という考えが前提にあります。
経営効率や収益を上げ、経営目標を達成する
ファシリティマネジメントは経営活動なので、「経営効率や収益を上げて、経営目標を達成すること」も大きな目的の一つです。
例えば、施設に導入されている機器のメンテナンス計画や更新時期を明確にした「中長期保全計画」を策定し、適切なメンテナンスによって設備機器の延命を図り、大規模修繕時のコスト抑制に繋げます。
その他にもオフィスのレイアウトや動線を最適化することで社員が効率的に動けるようにして、業務効率改善(生産性の向上)を図ります。
特に日本では施設関連費が高くなりやすい傾向があります。また、経営において施設が重要な役割を果たしているにもかかわらず、施設が適切でない管理をされ、結果として経営を圧迫している状況もあります。
ファシリティマネジメントはそうした状況を改善するためにも取り組むべきテーマです。ファシリティの状況や使い方を適切に把握・改善していけば、経営効率は上がり、施設関連費用の無駄を減らせる可能性も高くなります。
社会や地球環境に貢献する
ファシリティをより良いかたちで管理し、社会や地球環境に貢献することもファシリティマネジメントの目的です。
ファシリティマネジメントの一環として、省エネルギーや二酸化炭素の削減など環境に優しい取り組みを続けることで、脱酸素社会の実現といった、地球環境の保全に貢献できます。
また、災害に強いファシリティにしていくことで、防災拠点の一つとして災害時の社会に貢献できる可能性もあります。昨今重視されているBCP(事業継続計画)の観点からも、ファシリティマネジメントは重要です。
ファシリティマネジメントが注目される背景
ファシリティマネジメントはインテリジェントビル調査団や建築CAD調査団によって、約40年前に日本へ紹介されました。しかし、当初から一般の注目を集めていたものでもありません。
ファシリティマネジメントが一般に注目されるようになったのは、バブルが崩壊した時期でした。それまで日本では、建物を建てては壊す「スクラップ&ビルド」によって建設が進められてきましたが、資金調達の兼ね合いもありスクラップ&ビルドは難しくなりました。
そこで、既にある建物をうまく活用していくファシリティマネジメントの考え方がメディアなどでも取り上げられるようになりました。実際に優れたファシリティマネジメントを実践していることによって表彰されている団体も多数あります。
ファシリティマネジメントに関連する近年の出来事としてはコロナ禍による在宅勤務がありました。在宅勤務への移行によって、オフィスや執務スペースに空きができたビルもあり、空いたスペースを今後どう活用していくかとった視点も生まれています。
ファシリティマネジメントの活動内容
「ファシリティマネジメントで具体的に何をしていけばよいのか」気になっている方もいるでしょう。しかし、具体的に何をするかはファシリティマネジメントを行う組織やファシリティの状況によって異なります。
そのため、やや抽象的にはなりますが、どのように活動するかについておおまかにご紹介します。一つの例として、ファシリティマネジメントは以下のサイクルで進めていきます。
- 経営戦略を踏まえ、ファシリティマネジメントの戦略・計画を立案する
- 個別のプロジェクトや運営・維持業務を実施する
- 実施された業務を評価する(モニタリング・分析)
- 実施状況から改善の方針を検討する
- 新たな戦略・計画を考え、次のサイクルへ反映する
上記の例では、経営戦略からサイクルがスタートしています。しかし、実施した業務の改善からサイクルをスタートさせるなど、どの段階もスタート地点になり得るとされています。
どこからスタートするにせよ、上記のようなPDCAサイクルを回して、より高次の目標を実現していくことがファシリティマネジメントの基本的な活動です。
参考:FM推進連絡協議会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』, 日本経済新聞出版社, 2018
ファシリティマネジメントを誰がやるのか
ファシリティマネジメントは誰が行うものでしょうか。ファシリティマネジメントには以下の3つのレベルがあるとされています。
- 戦略・計画を立案する経営レベル
- 業務を実施・評価・改善する管理レベル
- 日常的にファシリティの運営維持を行う実務レベル
それぞれのレベルでファシリティマネジメントに関わる人が必要です。そのため、どのレベルでどのようなファシリティマネジメントを行うかは異なるものの、経営レベルから実務レベルまで幅広い人材が関与する取り組みと言えます。
ファシリティマネジメントの段階
ここまでファシリティマネジメントについてご紹介しましたが、実際に取り組むにはハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。いきなり高度なファシリティマネジメントを実行するのは難しいものです。
そこで、ファシリティマネジメントには以下3つの実施段階があることを覚えておきましょう。
- 現状維持やファシリティの運営維持が行われている導入段階
- まだ全体最適ではなく個別最適に向けて動いている部分的ファシリティマネジメントの段階
- PDCAサイクルを回しながら全体最適を目指している統括的ファシリティマネジメントの段階
参考:FM推進連絡協議会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』, 日本経済新聞出版社, 2018
それぞれの段階によって、達成目標も異なります。管理しているビルや施設の状況なども見ながら段階的にファシリティマネジメントを行っていくのがよいでしょう。
当社の強み・メリット
総合ビルメンテナンス企業である当社は、今回ご紹介したファシリティマネジメント領域にも携わっており、様々なビルにまつわるメンテナンス業務を一手に引き受けることができます。その他、当社には以下のような強みがありますので、ビルメンテナンスに関して何かご相談がありましたら、コニックスに是非ご相談ください。
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