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熱源設備とは?種類やメンテナンスなど基本的なことを解説

熱源設備は空調や給湯を根幹から支える大切な設備です。しかしビルや施設の管理者の方でも熱源設備について詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。

この記事では熱源設備とはどんな設備で何のためにあるか、どのようにメンテナンスしていけばよいかなど基本的なことを分かりやすく解説します。

熱源設備とは

熱源設備とは空調機や給湯器のために冷熱や温熱を作り出し供給している設備です。代表的な熱源設備としてはボイラーやチラーがあります。従来は石油や石炭、ガス、電気を使って加熱や冷却を行ってきました。

最近はカーボンニュートラルなど環境保護の取り組みをする必要性から、太陽光や地熱を用いる熱源設備も登場しています。新しい熱源設備は省エネ性能が向上していることも多いので、古くなった熱源設備をリニューアルすると光熱費の節約につながる場合もあります。

熱源設備と空調設備の関係

熱源設備は空調設備の一部でもあります。空調設備は以下の4つの設備から構成されています。

熱源設備加熱や冷却をする
熱搬送設備熱源設備から熱を運ぶ
空気調和機熱を利用しながら空気を調和する
自動制御設備上記の設備を制御する

空調方式はさまざまなので一概に仕組みを述べることはできませんが、熱源設備が加熱や冷却をした水や空気が運ばれていくことで、暖房や冷房が使えるようになります。熱源設備は空調設備を大本で支える大切な設備なのです。

熱源設備の種類

代表的な熱源設備にはボイラーとチラーがあります。名前や概要は知っていても、仕組みを詳しくは知らない方も多いでしょう。ボイラーとチラーはそれぞれ仕組みや働きが異なるので、以下で詳しく解説します。

ボイラー

ボイラーとは水を加熱して蒸気や温水を作る設備です。蒸気を作り出す蒸気ボイラーと温水を作り出す温水ボイラーの2つに分かれます。

また、内部の構造などによって以下のような種類に分かれています。

鋳鉄製ボイラー鋳鉄製のセクションを前後に組み合わせた構造で小容量ボイラーとして使われる
水管式ボイラー上下のドラムを曲管式水管で結んだ構造で高圧・大容量ボイラーに適している
貫流ボイラー水管式ボイラーの一種で、小型・簡易ボイラーとして使われる
炉筒煙管ボイラー缶胴の中に炉筒と煙管が配置された構造で、圧力と水位を安定させながら稼働できる

蒸気ボイラーの仕組みと概要

蒸気ボイラーでは、まず水を加熱して高圧の蒸気を発生させます。その蒸気を空調機の空気加熱器に送ると、空調機は温風を出せるようになります。

空気を暖める役割を果たした水蒸気は冷えて凝縮。水となって給水タンクに戻り、また水蒸気を作るための水として使われます。

蒸気ボイラーは蒸気を使うので熱効率が高く、長時間の運転に適しています。しかし、次に紹介する温水ボイラーに比べると構造が複雑なのでメンテナンスが大変です。

温水ボイラーの仕組みと概要

温水ボイラーでは、水を加熱して温水にします。その温水を空気加熱器に送り、空気を暖める役割を終えた温水は冷えて給水タンクに戻り、再びボイラーで使われます。

温水ボイラーは蒸気ボイラーと比較するとシンプルな構造をしており、メンテナンスにかかるコストを抑えられます。しかし、熱効率が比較的低いのがデメリットです。

チラー

チラーとは冷温水を作る設備です。チラーは冷水も温水も作れる「冷温水機」と冷水のみを作れる「冷凍機」に分かれます。

チラーは冷媒の違いによって吸収式(ナチュラル式)チラーと圧縮式(ヒートポンプ式)チラーの2つに分かれます。

「吸収式チラー」と「圧縮式チラー」は呼び方が似ている為、「吸収式冷温水発生機」と「ヒートポンプチラー」という呼称で区別するケースも多く、以下からはその呼称でご説明します。

吸収式冷温水発生機の仕組みと概要

吸収式冷温水発生機は自然界にもある水を冷媒として利用しているのでナチュラルチラーとも呼ばれます。蒸発器・吸収器・再生器・凝縮器・ポンプで構成され、冷房サイクルは以下の仕組みで稼働しています。

  1. 低温の水が蒸発器に入る
  2. 蒸発器の中で吸熱して水が沸騰し水蒸気になる
  3. 水蒸気は吸収器へ移動する
  4. 臭化リチウムの吸収液に水蒸気が吸収される
  5. ポンプで再生器に送り出される
  6. 再生器で水蒸気と吸収液に分離される
  7. 吸収液は吸収器に戻り、水蒸気は凝縮器に送られる
  8. 凝縮器で放熱して水蒸気が水に戻る
  9. 再び蒸発器に戻る

冷媒となっている水や水蒸気が循環しながら気化や凝縮を繰り返していることが分かります。冷却の鍵を担っているのは気化熱です。液体は気化して気体になるときに周囲から熱を奪う性質があります。

アルコール消毒をするときに、肌にアルコールを塗るとひんやりした経験がある方もいるはずですが、あれは肌に触れたアルコールが気化して周囲の熱を奪っているからです。

チラーでは冷媒の気化・凝縮を繰り返しながら冷却を行っています。吸収式チラーではさらに蒸発器をほとんど真空に近い状態にして沸点を下げることで、効率的に気化するようにしています。

吸収式チラーは冷媒に水を使用しているので環境に優しく、消費電力も小さくて済みます。その一方で、途中で使用する吸収液の臭化リチウムに腐食性があるため、経年劣化しやすいデメリットがあります。

(圧縮式)ヒートポンプチラーの仕組みと概要

(圧縮式)ヒートポンプチラーではフロン類などを冷媒に用いています。蒸発器・圧縮機・凝縮器・膨張装置で構成され、以下の仕組みで稼働しています。

  1. 低温・低圧の液冷媒と冷媒ガスが蒸発器に入る。
  2. 蒸発器の中で吸熱して液冷媒が蒸発する
  3. 冷媒ガスが圧縮機に吸い込まれる
  4. 圧縮機で圧縮されて高温・高圧の冷媒ガスになる
  5. 冷媒ガスが凝縮器に送り出される
  6. 冷媒ガスは凝縮器で放熱して低温・高圧の液冷媒になる
  7. 液冷媒が膨張装置で減圧される
  8. 再び蒸発器に戻る

冷媒が気化するときの気化熱を利用して冷却を行っているのは吸収式チラーと同様です。冷媒が低圧にしたり高圧にしたりするのは、圧力によって沸点が変わる性質によって効率的に気化・凝縮させるためです。

圧縮式チラーは吸収式チラーよりも構造がシンプルですが、消費電力が比較的大きいというデメリットがあります。

熱源設備のメンテナンスについて

熱源設備のメンテナンスにはボイラー技士や冷凍機械責任者などの専門的な資格が必要です。そのため、メンテナンスはメーカーやビルメンテナンス業者に依頼するのが一般的です。

熱源設備を定期的にメンテナンスすることのメリットは以下の通りです。

  • 未然に故障を防げる
  • 省エネにつながる
  • おおまかな寿命が分かる
  • トラブル発生時にすぐに連絡できる

熱源設備が故障すると給湯や空調が使えなくなり、ビルや施設の利用が難しくなります。また、定期的なメンテナンスをしていないと省エネ効率が下がり、電気代やガス代などが余計にかかってしまいます。

メンテナンスには確かに費用が発生しますが、諸々のリスクを考慮すれば定期的なメンテナンスを依頼していた方が安心です。メンテナンスを依頼していればトラブルが発生した時でも相談しやすいので万一の事態にも備えられます。

熱源設備の法定耐用年数は15年です。しかし、これはあくまで法定耐用年数であり、管理しているビルや施設の熱源設備が実際どのくらいで使えなくなるかは分かりません。使用状況によっては法定耐用年数よりも短い期間で寿命が来ることも考えられます。

業者に定期的なメンテナンスを依頼していれば、熱源設備のおおまかな寿命が分かり、交換の計画や予算を立てやすくなります。今後の見通しを立てる上でも定期的なメンテナンスはおすすめです。

当社の強み・メリット

総合ビルメンテナンス企業である当社は、熱源設備のメンテナンスなど、様々なビルにまつわるメンテナンスを一手に受けられます。以下のような強みがありますので、ビルメンテナンスに関して何かご相談がありましたら、ぜひ、コニックスにご相談ください。
コニックスへの問い合わせ

  • 特に愛知県においては拠点数が多く、何かあった時にすぐに駆け付けることができます
  • 創立1955年以来、長きに渡り培われた圧倒的な経験値を持ち、信頼していただけています
  • エコチューニング事業所認定・エコチューニング技術者がいるため、省エネ知識も豊富です
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ビルメンテナンスと呼ばれるサービスを主体として、ビルにまつわる100の仕事を行い「コニックス」の制服を着た常時2,600名を超える社員が皆様から「ありがとう」を頂戴すべく動いております。

<当社許認可・保有資格の例>

  • 建物環境衛生総合管理業 愛知県18総第8号
  • エコチューニング事業者認定 第170087号
  • 警備業 第54000058号
  • 一般建設業(般-3)第39090号

<当社従業員保有資格の例>

  • 清掃作業監督者
  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 警備員指導教育責任者