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非常用照明の設置基準について建築基準法などをもとに解説

非常用照明は災害時に備えて設置が必要です。しかし、設置基準や必要な構造が詳しく定められており、理解が難しい部分があります。この記事では非常用照明の設置基準や必要な構造、配置方法などをわかりやすく解説します。

非常用照明とは

引用:三菱電機 LED非常用照明器具

非常用照明とは、火災などの災害が発生して停電した時に、通常の照明に代わって部屋や通路などを照らして避難を助ける照明装置で、ダウンライト型から後付けできるものまで様々な種類があります。

建物の中の人が安全かつ速やかに避難するために重要な建築設備なので、劇場やホテル、百貨店など多くの人が集まる施設や被害が広がりやすい大規模な建物、窓のない部屋がある建物などに設けられます。

非常用照明はいわゆる「12条点検」で点検・報告が必要です。12条点検全体については以下の記事をご参照ください。

12条点検とは?対象となる建築物などや点検内容を改正後の法律に沿って解説

非常用照明の設置基準

非常用照明を設置しなければならない建物の部分は建築基準法施行令第126条の4に定められています。設置基準に関する近年の動きとして、平成30年に設置基準が緩和され、規制の適用を受けない居室に一部の居室が加わりました。

平成30年に緩和された内容を含めた設置基準の表は以下の通りです。

対象建築物

対象建築物対象建築物のうち設置義務のある部分対象建築物のうち設置義務免除の建築物または部分
(1) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
(2) 病院、診療所(※1)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設など
(3) 学校など、博物館、美術館、図書館
(4) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店物品販売業を営む店舗(※2)
(A) 居室
(B) 無窓の居室(※3)
(C) 居室や無窓の居室から、地上へ通じる避難路となる廊下、階段
(D) その他の通路
(E) (A)~(C)に類する部分(※4)
(ア) 病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、これに類する部屋(※5)
(イ) 共同住宅、長屋の住戸
(ウ) 学校など
(エ) 採光上有効に直接外気に開放された通路や屋外階段など
(オ) 平成30年国土交通省告示第516号による居室(※6)
(カ) 平成12年建設省告示第1411号による居室など(※7)
(キ) その他(※8)
階数が3以上で、延べ面積が500m²を超える建築物上記の(ア)~(キ)
(ク) 一戸建て住宅
延べ面積が1000m²を超える建築物
無窓の居室を有する建築物(F) 無窓の居室(※3)
(G) (F)の居室から、地上へ通じる避難路となる廊下、階段その他の通路
(H) (F)または(G)に類する部分(※4)
上記の(ア)~(オ)

※1 患者の収容施設があるもののみ。

※2 床面積10m²以内のものを除く。

※3 具体的には以下の2つにあてはまる居室のこと。

  • その居室の床面積の20分の1以上の面積を持った窓がない部屋
  • その居室の床面積の50分の1以上の面積を持った開放できる部分(天井または天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る)がない部屋

※4 たとえば、廊下に接するロビー、通り抜け避難に使われる場所、その他通常の場合に照明設備が必要とされる部分。

※5 事務所ビルなどの管理人室は含まれるが、当直室は含まれない。

※6 平成30年国土交通省告示第516号による居室は以下の通り。

  • 床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口があるもの
  • 床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の①又は②にあてはまるもの
  • 非常用の照明装置が設けられたもの
  • 採光上有効に直接外気に開放されたもの

※7 平成12年建設省告示第1411号による居室などは以下の通り。

  • 避難階にある居室などでは、その居室などの各部分から屋外への出口に至る歩行距離が30m以下であり、かつ避難上支障がないもの
  • 避難階の直下階または直上階にある居室などでは、その居室などから避難階の屋外への出口または建築基準法施行令第123条第2項に定められた屋外に設ける避難階段に通じる出入口に至る歩行距離が20m以下であり、かつ避難上支障がないもの

※8 その他の部分に関する規定は以下の通り

  • ふすま、障子など随時開放することができるもので仕切られた2部屋は1部屋と見なしてよいので、必ずしも両方の部屋に非常用照明を設置する必要はない。ただし、ふすまなどを開放した状態で、法定照度を満たさなければならない。
  • 地下駐車場の駐車スペースは居室に該当しない。また、車路は通常人が出入りしないので必ずしも非常用照明を設置しなくてもよい。しかし、避難に使われることもあるので、設置するのが望ましい。

非常用照明の種類

非常用照明は電源・光源・構成の種別によって種類が分かれています。ここからはそれぞれの種別ごとにどのような非常用照明があるかを解説します。

電源の種別

非常用照明の電源は停電時でも使える状態でなければなりません。電源の種別は以下の2つに分かれます。

種別特徴
電池内蔵式設備費が割高 ・予備電源が不要なので、配線規制を受けない
予備電源別置式設備費が割安 ・配線規制を受ける

大規模の建物であれば、予備電源が必ずあるので予備電源別置式の非常用照明を選んだ方が、コストを抑えて設置できます。一方、電池内蔵式は増改築に伴う設置や、中小規模の建物に向いています

光源の種別

光源の種別には白熱灯、蛍光灯、LEDがあります。光源の種別によって求められる照度が違うので注意が必要です。

構成の種別

構成は専用型、併用型、組込型に分かれます。それぞれの概要は以下の通りです。

種別特徴
専用型非常時にのみ点灯する非常時専用の照明
併用型平常時と非常時に同じ光源を使用して光り、平常時の照明にも使えるもの
組込型平常時の光源と非常時の光源の両方があるもの

非常用照明に必要な構造

非常用照明にどのような照明装置が使えるかは、建築基準法施行令第126条の5や告示によって定められています。ここからは非常用照明に必要な構造について解説します。

照度

非常用照明は、直接照明として設置し、床面で一定以上の照度を確保しなければなりません。照度は白熱灯の場合1ルクス、蛍光灯・LEDの場合2ルクスと定められています。

光源の種別によって規定の照度が異なるのは、蛍光灯やLEDだと周囲が高温になったときに照度が下がりやすいためです。

予備電源

非常用照明は停電時でも使えるよう予備電源を設けなければならず、電池内蔵式か予備電源別置式が用いられます。予備電源は停電時に常用電源から自動で切り替えられ、常用電源が復帰した際には自動で切り替え直されなければなりません。

非常点灯時間

非常用照明は避難に必要な時間、必要な照度を保って点灯していなければなりません。具体的には30分間点灯する必要があると定められています。

構造方法

非常用照明の構造方法は、火災によって周囲の温度が上昇した場合であっても著しく光度が低下しないよう国土交通大臣が定めた構造方法などを用いなければなりません。

具体的には照明装置の素材や配線の仕方などが定められています。詳しくは以下の告示をご参照ください。

昭和四十五年建設省告示第1830号

非常用照明に必要な照度を満たす配置方法

非常用照明に必要な照度を満たすために、逐一照度を計算した上で配置する方法も取れますが、非常に手間がかかり、一般的ではありません。

一般的には「配置間隔表」を利用して配置します。配置間隔表は照明装置の取り付け高さに応じた照明装置同士の最大間隔を示した表で、照明装置メーカーのカタログなどに記載されている場合があります。

当社の強み・メリット

総合ビルメンテナンス企業である当社は、以下のような強みがあります。
非常用照明についてもご不明点などございましたら、ぜひ、コニックスにご相談ください。
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