点検
防災管理点検とは?点検項目についても詳しく解説
防災管理点検は地震などの被害を軽減する体制を保つために必要な点検です。しかし、新しく管理権原者になった方は、防災管理点検について詳しく知らない場合もあるのではないでしょうか。
この記事では防災管理点検について解説します。適切な点検・報告を行う参考にしてください。
防災管理点検とは
防災管理点検とは、消防法第36条に定められた点検・報告制度です。消防法施行令で定められた「防災管理対象物」は、火災以外の災害被害を軽減するための対策として下記のような防災管理業務を行う必要があります。
- 防災管理者の選任
- 消防計画の作成
- 自衛消防組織の設置
防災管理対象物の管理権原者は、防災管理業務の実施状況を「防災管理点検資格者」に原則として年に1回点検させ、点検結果を消防機関に報告しなければなりません。
点検・報告をしなかった管理権原者には消防法第44条第11号により30万円以下の罰金または拘留が科せられる可能性があります。また管理権原者に管理を任せていた法人にも消防法第45条第3号により30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
「管理権原者」は「管理権限者」の誤記ではありません。
読み方は「かんりけんげんしゃ」ですが、区別のため「かんりけんばらしゃ」と呼ぶ人も多いです。
権原は、「法令上の原因」を指しており、原因の「原」の字が用いられています。
防災管理対象物とは
防災管理対象物については、消防法施行令第46条に定められています。細かな解説は後述しますが、おおまかに言えば大半の防火対象物(火災予防行政の主な対象となる建築物)である程度大規模なものは防災管理対象物です。
防災管理対象物は以下の(A)~(C)に分かれます。
(A)大規模施設
劇場など、風俗営業店舗など、飲食店など、百貨店など、ホテルなど、病院・社会福祉施設など、学校など、図書館・博物館など、公衆浴場など、車両の停車場など、神社・寺院など、工場など、駐車場など、その他事業場など、文化財である建築物のうち以下のいずれかにあてはまるもの
(イ)地階を除く階数が11以上の防火対象物で、延べ面積が1万㎡以上のもの
(ロ)地階を除く階数が5以上10以下の防火対象物で、延べ面積が2万㎡以上のもの
(ハ)地階を除く階数が4以下の防火対象物で、延べ面積が5万㎡以上のもの
(B)複合施設
複合用途の防火対象物で以下のいずれかにあてはまるもの
(イ)地階を除く階数が11以上の防火対象物で、以下にあてはまるもの
- (A)の用途に使われる部分の全部または一部が11階以上の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が1万㎡以上のもの
- (A)の用途に使われる部分の全部が10階以下の階にあり、かつ、その部分の全部または一部が5階以上10階以下の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が2万㎡以上のもの
- (A)の用途に使われる部分の全部が4階以下の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が5万㎡以上のもの
(ロ)地階を除く階数が5以上10以下の防火対象物で、以下にあてはまるもの
- (A)の用途に使われる部分の全部または一部が5階以上の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が2万㎡以上のもの
- (A)の用途に使われる部分の全部が4階以下の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が5万㎡以上のもの
(ハ)地階を除く階数が4以下の防火対象物で、(A)の用途に使われる部分の床面積の合計が5万㎡以上のもの
(C)延べ面積が1000㎡以上の地下街
考え方が複雑なのは(B)の複合用途の防火対象物です。その場合で防災管理点検対象物かどうかは以下の順序で考えて判断します。
- 規定された階に(A)の用途に使われる部分が存在するか
- (A)の用途で使われる部分の「全体の」床面積がどのくらいあるか
地階を除く階数が11以上の複合用途の防火対象物を例に解説します。
地階を除く階数が11以上の防火対象物の場合は、上記の通り「(A)の用途に使われる部分の全部または一部が11階以上の階にある防火対象物で、その部分の床面積の合計が1万㎡以上のもの」でも防災管理点検の対象となります。
この例であれば、例えば以下の建物は両方とも防災管理対象物です。
- (A)の用途で使われる部分が11階以上に床面積1万㎡以上存在する防火対象物
- (A)の用途で使われる部分が11階以上に床面積5000㎡以上存在し、10階以下の階に5000㎡以上存在する防火対象物
以下の日本消防設備安全センターの図解が考え方の補助になるので、必要に応じてご参照ください。
一般財団法人日本消防設備安全センター|防災管理定期点検報告(消防法第36条)
防災管理点検資格者とは
防災管理点検資格者とは、防災管理に関する専門知識を持っている有資格者のことです。防災管理対象物での防災管理について所定の講習を修了すると資格を取得できます。
また、防災管理点検資格者は防災管理業務を遂行する上で管理的または監督的な地位にある場合は防災管理者になれます。
防災管理点検資格者になるための講習を受けられるのは以下の実務経験を持つ人です。
- 防災管理者として、3年以上の実務経験
- 防災管理講習終了者で、5年以上の実務経験
- 市町村の消防職員として防災管理業務について、1年以上の実務経験
- 市町村の消防職員として、5年以上の実務経験
- 市町村の消防団員として、8年以上の実務経験
- 防火対象物点検資格者として、3年以上の実務経験
講習を受けるのに相当な実務経験が求められるため、防災管理点検は有資格者に外注するのが一般的です。
防災管理点検の頻度
防災管理点検の頻度は原則として1年に1回です。管理を開始した日を基準日として、基準日から1年以内に1回点検・報告を行います。基準日となる日は以下の通りです。
- 新築後、管理を開始した日
- テナントとして入居し、管理を開始した日
- 「特例認定」が失効した日
3年間消防法への違反がないなどの条件を満たせば、管轄の消防機関に「特例認定」を申請できます。特例認定を受けると、3年間点検と報告が免除されます。
防災管理点検の主な点検項目
防災管理点検の点検項目は多岐に渡ります。ここからは主な点検項目を解説します。その他の点検項目は以下の東京消防庁の点検要領などに記載されているので、適宜ご参照ください。
防災管理者選任(解任)
防災管理者選任(解任)の点検では、防災管理者の選任と届出が適切になされているか、防災管理者が異動せずにきちんと存在しているかを届出の写しや従業員名簿などによって確認します。
防災管理者とは防災管理業務を計画的に行う責任者です。防災管理対象物の管理権原者は、有資格者の中から防災管理者を選び、防災管理業務にあたらせなければなりません。
消防計画作成(変更)
消防計画作成(変更)の点検では、消防計画が作成され、作成や変更にあたって適切に届出がなされているかを届出の写しを見て確認します。消防計画は以下のような項目を定めたものです。
- 備品が転倒・落下・移動しないための防止措置
- 通報連絡
- 避難誘導
- 防災訓練
自衛消防組織の設置
自衛消防組織の設置の点検では、自衛消防組織が設置され、適切に届出がされているかを届出の写しを見て確認します。
自衛消防組織は建物の関係者が自力で防災活動ができるようにするための組織です。主に以下のような防災活動を行います。
- 初期活動
- 避難誘導
- 消防機関への通報
防災管理点検・報告の流れ
防災管理点検・報告の流れは以下の手順で進みます。
- 防災管理点検資格者への点検の依頼
- 点検の実施
- 報告書の作成
- 消防機関への報告書の提出
- 点検済証の表示
点検の際は原則として防災管理者の立ち合いが求められます。各種届出の写しや消防計画などの書類が点検の際に必要になるので、点検者にどの書類が必要か確認を取りながら準備をしましょう。
当社の強み・メリット
総合ビルメンテナンス企業である当社は、以下のような強みがあります。
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