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防火区画とは?貫通処理や外壁の処理についても解説

火災発生時に延焼を防ぐ防火区画は設置基準などが細かいため、混乱する方も多いのではないでしょうか。特にビルや施設を改築するときなどには、防火区画が基準に沿って設置できているか改めて確認する必要があります。

この記事では、防火区画について基本的なことから解説します。管や風道が防火区画を貫通するときの処理や防火区画に接する外壁の処理についても解説するので参考にしてください。

防火区画とは

防火区画とは、火が燃え広がるのを防ぐために建物を床や壁、防火設備によって区切るものです。

防火区画を設けることによって、火災が拡大するのを抑え、建物の中にいる人の安全や避難する時間を確保します。また、火災の規模をなるべく小さくすることで、周囲に燃え広がらないようにするのも防火区画の役割です。

防火区画については建築基準法施行令第112条で定められており、対象とされている建物には、規定に沿った防火区画を設ける義務があります。

また、防火区画を形成する防火扉や防火シャッターなどの防火設備は、「12条点検」のうちの「防火設備定期検査」で、点検・報告が義務づけられています。防火区画を適切に設置するだけでなく、防火設備を日頃からメンテナンスするのも重要です。

12条点検については、以下の記事で詳しく解説しています。

12条点検とは?対象となる建築物などや点検内容を改正後の法律に沿って解説

防火区画の種類と設置基準

防火区画には、面積区画、高層区画、竪穴区画、異種用途区画の4種類があります。これから、4種類の区画について概要と設置基準を紹介します。

防火区画に関しては専門知識が必要です。管理しているビルや施設がきちんと防火区画を設置できているか不安な場合などは、専門家に相談するようにしてください。

面積区画

面積区画とは、一定以上の床面積を持つ建物に設けられる防火区画です。建物の種類によって500〜1,500㎡の一定面積ごとに防火区画を設置します。面積区画では、対象となる建物が特に複雑に定められています。

対象となる建物 区画床面積 区画の仕方
下記のうち、延べ面積が1,500㎡を超えるもの(※1)(※2)
  • 主要構造部を耐火構造とした建築物
  • 建築基準法第2条第9号の3イかロに該当する建築物
  • 建築基準法施行令第136条の2第1号ロか第2号ロの基準に適合する建築物
床面積1,500㎡以内ごとに区画(※1) 1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床か壁、または特定防火設備で区画
下記のうち、延べ面積が1,000㎡を超えるもの(※1)(※3)
  • 建築基準法第21条第1項の規定により建築基準法施行令第109条の5第1号の基準に適合する建築物とした建築物(※4)
  • 建築基準法第27条第1項の規定により第110条第1号の基準に適合する特殊建築物とした建築物(※5)
  • 建築基準法第27条第3項の規定により準耐火建築物とした建築物(※6)
  • 建築基準法第61条の規定により建築基準法施行令第136条の2第2号に定める基準に適合する建築物とした建築物(※7)
  • 建築基準法第67条第1項の規定により準耐火建築物等とした建築物(※6)
床面積1,000㎡以内ごとに区画(※1)
下記のうち、延べ面積が500㎡を超えるもの(※1)(※3)
  • 建築基準法第21条第1項の規定により建築基準法施行令第109条の5第1号の基準に適合する建築物とした建築物(※8)
  • 建築基準法第27条第1項の規定により第110条第1号の基準に適合する特殊建築物とした建築物(※9)
  • 建築基準法第27条第3項の規定により準耐火建築物とした建築物(※10)
  • 建築基準法第61条の規定により建築基準法施行令第136条の2第2号に定める基準に適合する建築物とした建築物(※11)
  • 建築基準法第67条第1項の規定により準耐火建築物等とした建築物(※10)
床面積500㎡以内ごとに区画(※1)
  • 1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床か壁、または特定防火設備で区画
  • 防火上主要な間仕切壁を準耐火構造として、小屋裏または天井裏に届かせる(※12)

※1 自動のスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備などを設けた部分の床面積の2分の1にあたる床面積を除く。

※2 ただし、以下の建築物の部分で、用途上やむを得ない場合は、防火区画の設置が免除される。

  • 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の客席などの用途に使う部分
  • 体育館・工場などの用途に使う部分
  • 階段室の部分等で1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床か壁、または特定防火設備で区画されたもの

※3 以下の建築物の部分で、天井(天井のない場合は屋根)と壁の室内に面した部分の仕上げを準不燃材料でしたものは除く。

  • 体育館、工場などの用途に使う建築物の部分
  • 階段室の部分等で1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床か壁、または特定防火設備で区画されたもの

※4 通常火災終了時間が1時間以上であるもの。

※5 特定避難時間が1時間以上であるもの。

※6 建築基準法施行令第109条の3第2号の基準または1時間準耐火基準に適合するもの

※7 準防火地域内にあり、建築基準法施行令第109条の3第2号の基準または1時間準耐火基準に適合するもの。

※8 通常火災終了時間が1時間以上であるものを除く。

※9 特定避難時間が1時間以上であるものを除く。

※10 建築基準法施行令第109条の3第2号の基準又は1時間準耐火基準に適合するものを除く。

※11 準防火地域内にあるものに限り、第109条の3第2号の基準または1時間準耐火基準に適合するものを除く。

※12 以下の部分は除く。

  • 天井の全部が強化天井である階
  • 準耐火構造の壁または建築基準法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画されている部分で、その部分の天井が強化天井であるもの

高層区画

高層区画は、面積区画の一種で、建物の11階以上の階に設けられます。11階以上のようなはしご車が届かない階は消防活動が難しいので、延焼をなるべく抑えられるよう通常の面積区画よりもさらに小さく100〜500㎡の一定面積ごとに区画します。

対象となる建物の部分区画床面積区画の仕方
建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡メートルを超えるもの(※1)(※2)床面積の合計100㎡以内ごと(※1)耐火構造の床か壁、または建築基準法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画
建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡を超えるもののうち、壁(※3)及び天井の室内に面する部分(※4)の仕上げを準不燃材料でして、その下地を準不燃材料で造ったもの(※1)(※2)床面積の合計200㎡以内ごと(※1)
建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡を超えるもののうち、壁(※3)及び天井の室内に面する部分(※4)の仕上げを不燃材料でして、その下地を不燃材料で造ったもの(※1)(※2)床面積の合計500㎡以内ごと(※1)

※1 自動のスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備などを設けた部分の床面積の2分の1にあたる床面積を除く。

※2 階段室の部分か昇降機の昇降路の部分(乗降ロビーの部分を含む)、廊下その他避難のために使う部分または床面積の合計が200㎡以内の共同住宅の住戸で、耐火構造の床か壁または特定防火設備で区画されたものを除く。

※3 床面からの高さが1.2メートル以下の部分を除く。

※4 回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。

竪穴区画

竪穴区画は吹き抜け、階段、昇降路、ダクトスペースなどに設けられる区画です。階段などは火災発生時に避難に使われることもありますし、吹き抜けなど上下に連続した空間は火が燃え広がりやすいので、特に防火区画の設置が必要です。

対象となる建物の部分区画の仕方
主要構造部が準耐火構造の建築物または建築基準法施行令第136条の2第1号ロか第2号ロの基準を満たす建築物で、地階または3階以上の階に居室があるものの竪穴部分(※1)(※2)竪穴部分以外の部分と準耐火構造の床か壁または建築基準法第2条第9号の2ロに規定された防火設備で区画
上記を除く建築物で、3階を病院、診療所または児童福祉施設等の用途に使う建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のものの竪穴部分(※1)(※3)(※4)竪穴部分以外の部分と間仕切壁または建築基準法第2条第9号の2ロに規定された防火設備で区画
上記を除く建築物で、3階をホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎などの用途に使う建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のものの竪穴部分(※1)(※3)竪穴部分以外の部分と間仕切壁または戸(ふすま、障子などを除く)で区画

※1 竪穴部分とそれに接する他の竪穴部分(いずれも劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席、体育館、工場などに使う建築物の部分または階段室の部分などであるものに限る)が次の基準を満たす場合は、それらの竪穴部分を1つの竪穴部分とみなす。

  • その竪穴部分と他の竪穴部分の壁と天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料でされており、その下地が準不燃材料で造られたものであること
  • その竪穴部分と他の竪穴部分とが用途上区画することができないものであること

※2 以下の竪穴部分を除く。

  • 避難階からその直上階または直下階のみに通ずる吹抜けとなっている部分、階段の部分などでその壁と天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でして、その下地を不燃材料で造ったもの
  • 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅または長屋か共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で床面積の合計が200㎡以内であるものの吹抜けとなっている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分など

※3 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙またはガスの降下が生じない建築物として、壁と天井の仕上げに用いる材料の種類、消火設備と排煙設備の設置の状況、構造を考慮して国土交通大臣が定めたものの竪穴部分を除く。

※4 居室、倉庫などにスプリンクラー設備などを設けた建築物の竪穴部分については、その防火設備に代えて、10分間防火設備で区画できる。

異種用途区画

異種用途区画は複数の用途に使われる建物で必要な防火区画です。用途が違うと、利用形態や空間形態が異なり、避難の遅れなどが生じやすいことから、異なった用途の空間に火が燃え広がらないよう、用途の境界部分で区画します。

対象となる建物区画の仕方
建築物の一部が建築基準法第27条で定められた耐火建築物等としなければならない特殊建築物であるもの(※1)その部分とその他の部分を1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床か壁または特定防火設備で区画

(※1)国土交通大臣が定める基準に従って、警報設備を設置するなどしている場合を除く

防火区画貫通処理とは

防火区画貫通処理とは、給水管、配電管などや風道が防火区画に用いられる壁や床などを貫通する場合に、貫通したことによって延焼が発生しやすくならないように処理をすることをいいます。

そもそも防火区画に管などを貫通させないのが理想ではありますが、建物を使用する都合上難しい場合もあるでしょう。

防火区画の壁や床に穴を開ける工事をする際には、防火区画貫通処理がきちんとできているか確認するのが重要です。また、貫通工事をする場合には、貫通処理ができる業者に依頼しましょう。

防火区画貫通処理の方法

防火区画貫通処理の方法は、給水管、配電管などが貫通するのか、換気・冷暖房設備の風道が貫通するのかによって分かれています。

給水管、配電管などの場合は、以下のいずれかの条件を満たして防火区画を貫通させる必要があります。

  • 給水管、配電管などの貫通する部分と貫通する部分からそれぞれ両側に1メートル以内の距離にある部分を不燃材料でつくること
  • 給水管、配電管などの管の外径が、国土交通大臣が定める数値未満であること
  • 防火区画の性能を損なわないと国土交通大臣に認定を受けていること

風道の場合は、貫通部分とそれに近接する部分に以下の要件を満たす特定防火設備で国土交通大臣が定めた構造方法をもつものか、国土交通大臣が認定するものを、国土交通大臣が定める方法で設置しなければなりません。

  • 火災により煙が発生した場合または火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものであること
  • 閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を持つものであること

国土交通大臣が定めた構造方法と方法については以下をご参照ください。

防火区画を貫通する風道に設ける防火設備の構造方法を定める件

防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を定める件

防火区画に接する外壁の処理(スパンドレル)

防火区画に接する外壁は「スパンドレル」と呼ばれる準耐火構造を持った外壁にしなければならない場合があります。スパンドレルを設置しないと、建物の中で延焼を防いでも、外から炎が燃え移ってしまうからです。

防火区画に接する外壁の処理については、建築基準法施行令第112条16項に規定があり、外壁のうち、防火区画に接する部分を含んだ幅90㎝以上の部分を準耐火構造とする必要があります。

しかし、外壁面から50㎝以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁などで炎が遮られる場合は、外壁の処理をしなくても構いません。

当社の強み・メリット

総合ビルメンテナンス企業である当社は、以下のような強みがあります。
防火区画に関してご不安でしたら、ぜひ、コニックスにご相談ください。
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  • 建物環境衛生総合管理業 愛知県18総第8号
  • エコチューニング事業者認定 第170087号
  • 警備業 第54000058号
  • 一般建設業(般-3)第39090号

<当社従業員保有資格の例>

  • 清掃作業監督者
  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 警備員指導教育責任者