衛生管理
換気設備の種類と換気設備に関わる建築基準法の規定を解説
建築基準法により、特定の部屋では換気設備の設置が義務付けられています。しかし、換気設備にどんな種類があるか、関連する法令にはどのような規定があるかなど、詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はビルや施設の管理者の方向けに換気設備について解説します。必要な検査などについても解説するので、換気設備の設置やメンテナンスに役立ててください。
換気設備とは
換気設備とは、空気の入れ替えをする設備です。部屋などに新鮮な空気を取り入れたり、汚れた空気を排出したりします。
今の建物は昔の建物よりも気密性が上がっているので、換気設備なしの自然な空気の入れ替えは難しくなりました。換気設備がないと汚染された空気が建物や部屋の中に溜まり、中にいる人の健康に悪影響が出かねません。
特定の部屋では換気設備を設けることが建築基準法第28条で義務として定められています。
また、ビルや多くの人が出入りする建物では、中にいる人が安全に過ごせるように、空気中の二酸化炭素濃度やホルムアルデヒド濃度などを一定の基準内に保たなければなりません。換気設備は必要性が高い設備です。きちんと設置し、メンテナンスしましょう。
ビルなどの空気環境については以下の記事も参考にしてください。
空気環境測定とは?義務と基準、実施者の持つ資格、料金などを解説!
ホルムアルデヒドの測定・検査とは?測定器や測定方法についても解説
換気設備に関わる建築基準法の規定
換気設備については建築基準法第28条第3項に定められています。第28条第3項では以下に該当する部屋に換気設備を設けなければならないことになっています。
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場などの用途に使う特殊建築物の居室
- 建物全般の調理室
- 建物全般の浴室
- 建物全般で火を使う設備や器具を設けた部屋
罰則規定は建築基準法第99条第15号に定められており、換気設備の設置義務に違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
建築基準法施行令で定められた換気設備の技術基準
特殊建築物の居室に設置する換気設備の技術基準は、建築基準法施行令第129条の2の5に定められています。おおむね以下のようなことが定められています。
- 自然換気設備では給気口や排気口の有効開口面積などが一定の水準以上であること
- 機械換気設備では有効換気量が一定の水準以上であること
- 居室の中の人が活動する空間の炭酸ガス含有率をおおむね100万分の1000以下に、一酸化炭素の含有率をおおむね100万分の6以下に保つ換気ができること
- 給気口と排気口に、雨水の浸入やねずみ、ほこりその他衛生上有害なものの侵入を防ぐための設備があること
- 風道から発散する物質やその表面に付着する物質によって居室の内部の空気が汚染されないこと
設置義務を果たせる換気設備は決まっています。換気が必要な部屋にはプロに相談しながら適切な換気設備を設置してください。
換気設備等の種類
換気設備等には、厳密には法律上の換気設備と言えないものも含めると4種類あります。それぞれ詳しく解説します。
換気ができる窓などの開口部
窓などは法律上の「換気設備」にはあたりませんが、換気に役立ちます。建築基準法第28条第3項で換気設備の設置が義務付けられた部屋ではない居室でも換気は必要です。その場合は必ずしも換気設備を設ける必要はなく、窓やその他の開口部を設けるだけでも構いません。
ただし、窓などの大きさには規定があり、換気に有効な部分の面積を居室床面積の二十分の一以上にする必要があります。
自然換気設備
自然換気設備は、機械の力を使わずに換気する設備です。換気する空間内外の温度差や風圧などによって空気を入れ替えます。機械を稼働させないので、省エネルギーで低コストなのが特長です。メンテナンスの手間もほとんどかかりません。
ただし、建築基準法施行令第20条の2により、建築基準法第28条第3項で換気設備の設置が義務付けられた特殊建築物の居室には自然換気設備ではない他の換気設備が必要です。
機械換気設備
機械換気設備は機械を使って換気する設備です。自然換気設備よりも安定的な換気が行えます。機械換気設備は給気と排気にどのように機械を使うかによって3種類に分かれます。
第1種換気方式 | 第2種換気方式 | 第3種換気方式 | |
---|---|---|---|
換気方法 | 給気と排気を機械で行う | 給気を機械で、排気を自然で行う | 給気を自然で、排気を機械で行う |
特徴 | 一定の換気を常に行える コストが高い | 汚染された空気が他の部屋から入らない | 臭いや水蒸気を含む空気を効率的に排気できる コストが低い |
設置する 場所 | 居室 | 手術室、無菌室(クリーンルーム)、食品を扱う工場 | トイレ、浴室 |
ちなみにトイレに関しては、建築基準法施行令第28条で、採光と換気のために直接外気に接する窓を設けなければならないことと、それに代わる設備を設けた水洗便所では窓を設けなくてもよいことが定められています。
つまり窓があればトイレに換気設備を設置する義務はないのですが、多くのトイレで換気設備が設置されています。
中央管理方式の空気調和設備など
中央管理方式の空気調和設備とは、中央管理室で換気や冷暖房などを一元的にコントロールする設備です。高層ビルや広い地下街などに多く採用されています。
中央管理方式の空気調和設備は、居室の空気を以下の基準に適合するように調節できなければなりません。
対象 | 基準値 |
---|---|
浮遊粉じんの量 | 空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下 |
一酸化炭素の含有率 | 100万分の6以下 |
炭酸ガスの含有率 | 100万分の1000以下 |
温度 | 18度以上28度以下。 居室の温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないものであること |
相対湿度 | 40パーセント以上70パーセント以下 |
気流 | 1秒間につき0.5メートル以下 |
換気設備の耐用年数
換気設備に使われる換気扇の法定耐用年数は15年とされています。とはいえ、法定耐用年数と実際の寿命は必ずしも一致しないので、お使いの換気扇が15年もつとは限りません。
換気扇はトラブルが発生しやすい機器です。換気設備に問題があった場合にも修理や買い替えの相談ができる業者を探しましょう。
換気設備の検査
換気設備は「建築設備定期検査報告」で有資格者が1年に1回点検しなければなりません。建築設備定期検査報告はいわゆる「12条点検」に含まれる検査で、換気設備や給排水設備などを点検します。
12条点検については次の記事で詳しく解説しているので、12条点検の全体像を知りたい場合はご参照ください。
12条点検とは?対象となる建築物などや点検内容を改正後の法律に沿って解説
換気設備の点検では主に以下の内容を点検します。
- 換気設備の取り付けがしっかりしているか
- 機器が損傷していないか
- 運動時に異常な音や振動、発熱がないか など
詳しい点検内容は省略しますが、国土交通省の以下の告示に詳しくまとめられています。ご興味あれば確認してみてください。
国土交通省告示第285号「建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」
建築設備定期検査報告は有資格者が点検する必要がありますし、報告書も提出しなければなりません。ビルや施設の管理者の方がご自分で点検をするのは困難です。当社のような建築設備の点検もできる業者への相談をおすすめします。
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