点検
防災設備とは?設備の種類や点検についても解説
ビルや施設を管理している方は、いざというときの防災設備にも気を遣う必要があります。しかし、一口に防災設備と言っても種類が豊富で、概要をつかみづらいのではないでしょうか。この記事では防災設備の種類や点検・報告制度について解説します。
防災設備とは
防災設備とは、火災をはじめとした災害時に、人や建物、財産などを守るための設備です。
実は「防災設備」という言葉について、消防法も建築基準法も定義を定めていません。総務省もはっきりとした見解は出していないようです。とはいえ、「防災設備」という言葉が指す対象について緩やかな共通認識はあります。
防災設備は、論文などで「災害から建物とその利用者の人命・財産を守るために設ける設備の総称」と定義されたり、「建物での火災発生時に必要不可欠な設備」と述べられたりしてきました。
後者に関しては、建物でまず想定される災害が火災であることから、そうした記述になったのでしょう。実際、次に解説する個々の防災設備も、多くは火災に対応する設備です。
防災設備の種類と一覧
防災設備は主に5種類あります。そのうち、以下の4種類は消防法や消防法施行令によって基準や点検の義務が定められています。
- 消火設備
- 警報設備
- 避難設備
- 消火活動上必要な設備
もう1つの「防火設備」は、建築基準法や建築基準法施行令によって基準や点検の義務が定められています。参照するべき法律が分かれているので、法文を確認したい時には注意してください。
どの防災設備がどの建物に必要かは、消防法施行令第3節や建築基準法第27条、建築基準法施行令第112条などに定められています。管理しているビルや施設に応じてご確認ください。
消火設備
消火設備は、火災が発生したときに炎を消し、延焼を防ぐための設備です。消火設備の種類は豊富で、施設や部屋の用途によってどの消火設備を使うか決まっている場合があります。
たとえば、通信機器室などは水で消火するわけにはいかないので、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備または粉末消火設備のいずれかを使います。
基準については消防法施行令第3節第2款に定められており、以下のような設備があります。
設備 | 概要 |
---|---|
消火器具 | 消火器や水バケツなどの簡易消火用具 |
屋内消火栓設備 | 消火器では対応できない炎に大量の水を放射するための設備 |
スプリンクラー設備 | 熱を感知して、天井などのスプリンクラーから散水する設備 |
水噴霧消火設備 | スプリンクラーより細かな水を噴霧する設備 |
泡消火設備 | 水で消火しづらい油火災などを泡で消火する設備 |
不活性ガス消火設備 | 消火後の汚染が少ない不活性ガスを使用した消火設備 |
ハロゲン化物消火設備 | 消火後の汚染が少ないハロゲン化物を使用した消火設備 |
粉末消火設備 | 粉末薬剤の触媒作用によって消火する設備 |
屋外消火栓設備 | 建物の外部から消火活動をするための設備 |
動力消防ポンプ設備 | 消防のために使うポンプ設備 |
警報設備
警報設備は、火災などの発生を知らせる設備です。自動の警報設備はもちろん、拡声器や手動のサイレンも警報設備に含まれます。拡声器などの「非常警報器具」や「非常警報設備」は、収容人数が少ないコンパクトな施設で、十分な設備がない場合に設置されるものです。
基準については、消防法施行令第3節第3款に定められており、主に以下の設備があります。
設備 | 概要 |
---|---|
自動火災報知設備 | 火災によって発生する熱や煙、炎などを感知し、建物の中の人に知らせる設備 |
ガス漏れ火災警報設備 | ガス漏れを検知して建物の中の人に知らせる設備 |
漏電火災警報器 | 漏電による出火を防ぐため、漏電を感知して警報する設備 |
消防機関へ通報する火災報知設備 | 火災が発生したときに、消防機関に通報し、通話できる設備 |
非常警報器具 | 拡声器や手動のサイレンなど |
非常警報設備 | 非常ベルや放送設備など |
避難設備
避難設備は、火災などの災害が発生したときに、建物の中にいる人が安全に避難するための設備です。基準については消防法施行令第3節第4款に定められており、主に以下の設備があります。
設備 | 概要 |
---|---|
避難器具 | 避難はしごや避難用タラップなど |
誘導灯 | 避難口や避難方向を指示する照明設備 |
誘導標識 | 避難口や避難方向を指示する標識 |
避難器具は種類が豊富で、建物の種類や階数によって設置するべき避難器具が細かく決まっています。誘導灯、誘導標識に関してはこちらで設置基準などについて解説していますので、ご参照ください。
消火活動上必要な設備
消火活動上必要な設備は、消防隊の消火活動に必要な設備です。多くは高層ビルや地下階のある建物、地下街などに設けられます。基準については消防法施行令第3節第6款に定められており、以下の設備があります。
設備 | 概要 |
---|---|
排煙設備 | 火災で生じた煙を建物の中から排出するための設備 |
連結散水設備 | 地下街や地下階で散水するための設備 |
連結送水管 | 火災が発生した階まで水を送るための設備 |
非常コンセント設備 | 消防隊が使う機器に電源を供給する設備 |
無線通信補助設備 | 電波の届きにくい場所でも無線連絡ができるようにする設備 |
防火設備
防火設備とは、防火戸(防火扉)など、火災が発生したときに炎を遮り、延焼を防ぐための設備です。基準については、建築基準法第27条、建築基準法施行令第112条などに定められています。防火設備は大きく2つに分かれます。
- 防火設備:火炎を遮る設備で通常の火災による火熱が加えられても、加熱開始後二十分間は加熱面以外に火炎を出さないもの
- 特定防火設備:防火設備のうち、通常の火災による火熱が加えられても、加熱開始後一時間は加熱面以外に火炎を出さないもの
防火設備は、ある程度の大きさ以上の施設や危険物の貯蔵施設などに設けられます。特定防火設備は、緩やかな基準の耐火構造を持つ施設で、ある程度の大きさ以上の施設などに設けられます。
防災設備の点検・報告
防災設備はいざというときに機能するよう点検が必要です。普段使うものではないからこそ、点検をしなければなかなか不具合に気付けません。また、防災設備の点検・報告は法令によって義務として定められています。
ここからは、法令によって定められた点検・報告制度について解説します。
防火対象物点検報告制度
「防火対象物点検報告制度」とは、消防法第8条の2の2に定められた点検・報告制度です。「防火対象物」に該当する建物のうち特定の建物は、消防用設備がきちんと設置されているかなどを定期的に有資格者に点検させ、点検結果を消防長または消防署長に報告しなければなりません。
防火対象物点検報告制度の概要については、次のページで消防庁がまとめています。
消防用設備等点検報告制度
「消防用設備等点検報告制度」とは、消防法第17条の3の3に定められた点検・報告制度です。「防火対象物」に該当する建物では、消防用設備等や特殊消防用設備等を定期的に点検し、点検結果を消防長または消防署長に報告しなければなりません。
消防用設備等点検報告制度についてはこちらの記事を参照ください。そもそも防火対象物とは何かという基本的なことから解説しています。
12条点検(定期報告制度)
「12条点検」とは、建築基準法12条に定められた点検・報告制度です。12条点検の対象となる建物では、防火設備を含め、建物の安全性を有資格者が定期的に点検し、点検結果を特定行政庁に報告しなければなりません。
12条点検についてはこちらの記事に詳しく書いてあります。12条点検の対象となる建物の調べ方など基本的なことから解説しています。
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