点検
消防法で義務づけられた消火器など消防用設備点検と報告について解説
ビルや施設の管理をする上で気を配りたいのが、消防用設備等の点検と報告です。消防用設備等の点検と報告は、消防法第17条の3の3によって義務づけられています。「半年に1度」や「1年に1度」など、こまめな点検が必要なので、この機会に消防用設備等の点検と報告について基本から確認しておきましょう。
消火器など消防用設備点検の概要
消火器や火災報知器などの消防用設備は、火災が発生した場合にはじめて使われるものです。その分、消防用設備に問題が起きていても、なかなか気付けません。そのため、いつ火災が起きても問題なく使えるように日頃から消防用設備を管理し、定期的に点検する必要があります。
特に消防法施行令によって「防火対象物」として定められた施設は、定期的に消防用設備等を点検して、定められた頻度で報告しなければなりません。防火対象物や点検には種別があるので、それぞれ詳しく解説していきます。
しかし、一般の方がご自分の管理するビルや施設の消防用設備等や点検について把握しきるのは難しいと言えます。以下を読み進めて、あらましを掴んだ上で、不安なところは点検の前に専門家に相談しましょう。
防火対象物とは
「防火対象物」とは、以下の表に挙げた施設などのことです。防火対象物は消防用設備等の点検結果を1年に1回報告しなければならない「特定防火対象物」と、3年に1度報告する「非特定防火対象物」に分かれます。
東京消防庁が示す防火の対象物の用途による特定用途・非特定用途の分類をもとにした表は以下の通りですが、大掴みに言えば、特定防火対象物は防火対象物の中でも、劇場や百貨店、病院など、不特定多数の人や災害時に援護が必要な人が出入りする施設です。
特定防火対象物
消防法施行令 における区分 | 施設の種類 | |
---|---|---|
(6)項 |
ロ |
|
(16)項 |
イ |
複合用途防火対象物のうち、その一部に(6)項ロの用途部分を含むもの |
(16の2)項 |
地下街のうち、その一部に(6)項ロの用途部分を含むもの | |
(1)項 |
イ |
劇場、映画館、演芸場又は観覧場 |
ロ |
公会堂又は集会場 | |
(2)項 |
イ |
キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの |
ロ |
遊技場またはダンスホール | |
ハ |
性風俗関連特殊営業を営む店舗等 | |
ニ |
カラオケボックス、個室ビデオ等 | |
(3)項 |
イ |
待合、料理店その他これらに類するもの |
ロ |
飲食店 | |
(4)項 |
百貨店、マーケット、物品販売店舗又は展示場 | |
(5)項 |
イ |
旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの |
(6)項 |
イ |
病院、診療所、助産所 |
ハ |
| |
ニ |
幼稚園、特別支援学校 | |
(9)項 |
イ |
蒸気浴場、熱気浴場等 |
(16)項 |
イ |
複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途部分を含むもの((6)項、(16 の2)項を除く) |
(16の 2)項 |
地下街(その一部に(6)項ロの用途部分を含むものを除く) |
非特定防火対象物
消防法施行令 における区分 | 施設の種類 | |
---|---|---|
(5)項 |
ロ |
寄宿舎、下宿又は共同住宅 |
(7)項 |
学校 | |
(8)項 |
図書館、博物館、美術館等 | |
(9)項 |
ロ |
公衆浴場(蒸気浴場、熱気浴場等は除く) |
(10)項 |
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場 | |
(11)項 |
神社、寺院、教会等 | |
(12)項 |
イ |
工場又は作業場 |
ロ |
映画スタジオ、テレビスタジオ | |
(13)項 |
イ |
自動車車庫又は駐車場 |
ロ |
飛行機又は回転翼航空機の格納庫 | |
(14)項 |
倉庫 | |
(15)項 |
前各項に該当しない事業場 | |
(16)項 |
ロ |
イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 |
(17)項 |
重要文化財等 |
点検の種類と頻度
消防用設備等の点検は機器点検と総合点検に分かれます。機器点検と総合点検はそれぞれ点検の頻度や点検内容が異なります。
点検の種類 |
点検の頻度 |
点検内容の概要 |
---|---|---|
機器点検 |
6カ月に1回 |
|
総合点検 |
1年に1回 |
消防用設備等の種類に応じて、全部または一部を作動させたり使用したりして、総合的な機能を確認 |
なお、全ての消防用設備等に対して機器点検と総合点検の両方をするのではなく、どちらか一方の点検だけを必要とする設備等もあります。
たとえば、配線は総合点検のみ行います。一方、以下に挙げる設備は機器点検のみを行います。
- 消火器具
- 消防機関へ通報する火災報知設備
- 誘導灯
- 誘導標識
- 消防用水
- 非常コンセント設備
- 連結散水設備
- 無線通信補助設備
- 共同住宅用非常コンセント設備
消防用設備点検の報告
防火対象物の関係者は、消防用設備等を点検するだけでなく、点検結果を防火管理維持台帳に記録して、定められた頻度で消防長や消防署長に報告しなければなりません。
具体的に記録するのは、点検結果の総括表、点検者の一覧表、点検票などです。報告の頻度は防火対象物の種別によって定められています。
防火対象物の種類 |
報告の頻度 |
---|---|
特定防火対象物 |
1年に1回 |
非特定防火対象物 |
3年に1回 |
なお、「特殊消防用設備等」は、総務大臣の認定を受けた設備等設置維持計画に定められた点検を行い、計画に定められた報告の期間ごとに報告することになっています。
特殊消防用設備とは、技術基準が定まらない高度な消防防災システムなど、通常用いる同等以上の性能を持つと登録検定機関に評価され、総務大臣の認定を受けた設備などをいいます。
一般的なビルや施設で設置されているのは、特殊消防用設備ではない通常の消防用設備等でしょうから、特殊な場合を除いて表の報告頻度をおさえていれば十分です。
消防用設備点検をしないとどうなるか
消防用設備等の点検をしない場合、万一火災が発生したときに施設の安全を確保できません。
昭和40年代後半に発生した大阪市千日デパートビルや熊本市大洋デパートの火災では100名以上の死者が発生し、消防用設備等の点検・報告制度を整備する契機となりました。そうした痛ましい火災を防ぐために、管理者にはビルや施設の消防用設備に配慮する責任があります。
また、消防法第44条によって、消防用設備等の点検結果を報告しなかったり、虚偽の報告をしたりした人は、三十万円以下の罰金が科せられるか拘留を受ける可能性があります。消防用設備等の点検と報告は必ず行いましょう。
消防用設備点検は誰ができるか
では、消防用設備等の点検は誰ができるのでしょうか?自分で確認できるのでしょうか?
まず、以下の防火対象物の消防用設備等は、消防設備士か消防設備点検有資格者が点検しなければなりません。
- 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
- 延べ面積1000㎡以上の非特定防火対象物で、消防長又は消防署長が指定するもの
- 特定一階段等防火対象物
特定一階段等防火対象物とは、屋内階段が1つしかなく、1階と2階以外の階に、不特定多数の人が出入りし、火災が発生した際に避難に支障をきたす部分がある建築物のことです。
上記以外のビルや施設は、消防設備士や消防設備点検有資格者でなくても点検できます。しかし、消防用設備の知識がない人が、適切な点検をするのは難しいと言えます。万一に備えて十分に点検するためにも、専門家に相談しましょう。
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