点検
電気保安点検とは?受変電設備、自家用電気工作物の法定点検にも該当
ビルや施設の安全を保つためには電気設備の点検も必要です。
電気保安点検は電気事業法により義務付けられており、対象となる設備がある場合には必ず行わなければなりません。この記事では施設の安全性のために知っておきたい電気保安点検について基礎から解説します。
電気保安点検とは?
電気保安点検とは、電気設備の安全性を保つために定期的に行わなければならない点検のことです。
ビルメンテナンスに限れば、電気保安点検は「自家用電気工作物の法定点検」とも言われます。
電気保安点検は、電気事業法で義務として定められているため、「高圧の電気工作物」がある場合は、必ず法律に従い点検しなければなりません。
高圧の電気工作物とは?
「高圧の電気工作物」と言われても、一体何を指すのかよくわからない方もいるでしょう。
経済産業省の定義によれば、電気工作物とは、発電、蓄電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する工作物のことを言います。
電気工作物には一般家庭や小規模な事業所などで使われる低圧のものと、ビルや工場、発電所などの施設で使われる高圧のものがあります。
電気保安点検の対象となるのは、このうちの高圧なものです。高圧な電気工作物についての内訳をご紹介します。
事業用電気工作物
事業用電気工作物とは、簡単に説明すると一般家庭などで使われる低圧で安全性の高い電気工作物(一般用電気工作物)以外の電気工作物をいいます。たとえば、電力会社や工場などの発電所、変電所や送電線などです。
ただし、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備や出力20kW未満の風力発電設備といった小規模発電設備は、「小規模事業用電気工作物」といい、そのほかの事業用電気工作物とは保安規則が異なります。
自家用電気工作物
自家用電気工作物とは、事業用電気工作物のうち、電気事業に使われる事業用電気工作物ではないものをいいます。たとえば、工場、ビル、施設などで600Vを超えて受電する需要設備や、自家用発電設備などです。
通常ビルメンテナンスに関わりがあるのは、この自家用電気工作物ということになります。ビルメンテナンスに関係する方にとって、電気保安点検をするというのは、一般に自家用電気工作物の法定点検をするということです。
受変電設備保安管理とは?
電気保安点検について調べていると、「受変電設備保安管理」という言葉を見かけることもあるでしょう。ビルや施設などには、高圧の電気を受け取り、受け取った電気を実際に使える電圧に変換するキュービクルなどの高圧受変電設備があります。
高圧受変電設備は自家用電気工作物に該当するので、法定点検を行い、きちんと保守管理をしなければなりません。高圧受変電設備があるビルや施設の方は、電気保安点検として受変電設備保安管理が必要だと知っていただければ幸いです。
自家用電気工作物の法定点検(電気保安点検)をしないとどうなるか
自家用電気工作物を含め、電気設備は次第に老朽化が進んでいくものです。電気保安点検をしないと、予期しない故障や事故につながる可能性があります。
また、適切な保安点検をせずに事故が発生してしまうと、電気事業法第118条により、300万円以下の罰金が科せられます。
建物の安全性と法律順守のためにも、電気保安点検は必ずしましょう。
自家用電気工作物の法定点検(電気保安点検)は誰ができるのか
電気保安点検のためには、「主任技術者」を選任しなければなりません。主任技術者とは、事業用電気工作物の工事や維持、運用に関する保安の監督をする人です。
しかし、電気事業法施行規則第52条により、事業用電気工作物のうち自家用電気工作物は、一定の条件を満たし、外部委託をして、保安上支障がないと認められれば、電気主任技術者を選任しなくてもよいことになっています。
通常のビルであれば、ほとんどの場合条件を満たしているので、外部委託をすれば電気主任技術者を選任しなくても済みます。もちろん、外部委託せずに電気主任技術者を選任してもよいのですが、電気主任技術者にはかなりの専門知識が要求されます。
経済産業省の調査によれば、2023年1月末時点で、主任技術者の選任形態に占める外部委託の割合は91%です。ほとんどの場合で外部委託されていると言えます。外部委託先に選べるのは、以下の2つの委託先です。
- 電気主任技術者などの資格を持ち、各種条件を満たす個人事業主
- 弊社などの各種条件を満たす法人
ビルメンテナンスなど自家用電気工作物の法定点検が必要で、電気主任技術者の選任が負担である場合には、外部委託を検討しましょう。
自家用電気工作物の法定点検(電気保安点検)の点検タイミングと点検内容
電気保安点検をするタイミングには、月次、年次、臨時、電気事故対応の4つがあります。それぞれのタイミングで点検する内容も違うので、ご紹介します。
なお、電気保安点検は各事業者が定め、経済産業省に提出した保安規定によって行われるため、事業者によって点検内容が異なる場合もありますが、主だった点検内容をご紹介します。
月次点検
月次点検は月に1回行う簡易的な点検です。運転している電気設備の点検や測定を行うことによって、電気設備が安全に使える状態かどうかを確認します。月次点検で行うのは、具体的には以下のような作業です。
- 電気設備などに異常がないかの目視確認
- 過負荷がないか確認するための電圧・電力測定
- 変圧器などの漏えい電流測定
もし、異常があれば、使用責任者に報告をし、電気設備を安全に使えるよう整備します。電気設備の規模や条件によっては、2カ月に1回以上やそれ以下の頻度で点検をすればよい場合もあります。詳しくは電気保安点検を行う担当者に問い合わせてみてください。
年次点検
年次点検は年に1回行う精密な点検です。月次点検とは違って、年次点検は電気設備を停電させた状態で行うので、ビルや施設の利用にあまり影響が出ないよう、点検のスケジュールなどは担当者とよく相談して決めましょう。年次点検で行うのは、具体的には以下のような作業です。
- 電気設備などに異常がないかの目視確認
- 過負荷がないか確認するための電圧・電力測定
- 変圧器などの漏えい電流測定
- 絶縁抵抗測定
- 継電器との結合動作試験
- 機器の内部点検
機器の使用状況が安定しており、条件を満たす場合には、年次点検が3年に1回以上でもよくなるケースもあります。年次点検の頻度についても担当者に問い合わせてみましょう。
臨時点検
臨時点検は、電気設備が通常と異なる動作をしたときや、気象条件などによって電気事故が予想される場合に行われる臨時の点検です。点検内容としてはそのつど必要なものを点検します。
特に以下のようなときは、電気事故が発生しやすいので、臨時点検が必要になる場合があります。
- 梅雨や台風など雨が多いとき
- 雷が多く発生するとき
- 雪が降るとき
- 火山灰が降るとき
電気事故が発生してからでは手遅れなので、電気事故が発生しやすい時期には前もって臨時点検を行いましょう。
電気事故対応
電気事故対応とは、何らかの事故が起きてしまった後で行う点検のことです。担当者は、原因を究明し、問題を解決して、再発防止策を立てなければなりません。
電気事故対応は、すぐに対応しなければならず、危険を伴う場合もあります。緊急時にも相談できる業者を見つけておくのが安心です。
当社の強み・メリット
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