点検
空気環境測定とは?義務と基準、実施者の持つ資格、料金などを解説!
建物の空気を清潔な状態に保つことは、その建物に滞在する人のためにも非常に重要です。
空気は目で見ることができないため、管理者は定期的に空気が汚れていないかをチェックする責任があり、管理者は室内の空気の安全性と快適性について深く理解しておく必要があります。
この記事では、空気環境測定とはなにか、基準をクリアするために必要な6つの項目、具体的な実施方法についてご説明します。
空気環境測定とは
特定建築物で空気の成分を測定することを「空気環境測定」と呼びます。特定建築物とは、延床面積が3000㎡以上(学校教育法第1条に規定する学校については8,000㎡以上)で、ビルや百貨店など多数の人々が利用する建物を指します。
これらの建築物では、建築物環境衛生基準に基づいて、空気の品質が適切に保たれているかどうかを確認するために空気環境測定が行われます。
もし測定結果で建物内の空気が健康に悪影響を与える可能性があると分かった場合は、都道府県知事から問題の改善が命じられるか、設備の制限や使用停止の処置を受けることがあります。
空気環境測定はなぜ重要なのか
空気環境測定は私たちの健康と安全を評価するために行われます。私たちは空気と水で成り立っていますので、建物内の空気が汚染されたままだと、後述するように私たちの健康に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
小規模な建物では、窓を開けるなどして空気を入れ替えることができますが、大規模な建物ではそれが難しい場合があります。
特に空調システムを導入している場合、システムの不具合に気付かずに空気が汚れてしまうことがあります。建物内で働く人々の中には、呼吸器系の疾患を抱えている人や、カビなどで呼吸器疾患を引き起こす可能性がある人もいます。
また、密閉された建物では一酸化炭素中毒の危険性もあります。
不快な環境で過ごすと健康だけでなく生産性も低下するでしょう。
以上のように、私たちを取り巻く空気の品質は非常に重要です。
空気環境測定は建物で働く人や滞在する人々が衛生的な環境で過ごせるように、現状を把握するために行われる測定です。定期的に行うようにしましょう。
空気環境測定の項目と基準
空気環境測定には定期的に行う6項目と、建物ができてから初回のみ行う1項目の計7項目があります(令和4年4月1日時点)。
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは建物ができてから初回のみ検査を行う項目です。
ビルの新築、増築、または大規模修繕が完了し、使用を開始する時点から、6月1日から9月30日の期間に1回のみホルムアルデヒド測定が行われます。
ホルムアルデヒドの基準値は0.1 mg/m³以下です。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因となる物質であり、空気中に漂っていると体調を崩す人が現れる可能性があります。
ホルムアルデヒドについては下記の記事もご参照ください。
ホルムアルデヒドの測定・検査とは?測定器や測定方法についても解説
浮遊粉塵
浮遊粉塵の基準値は0.15mg /㎥以下とされています。
この基準値を大幅に超えると、建物内に出入りしている人々の呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があり、粉塵を吸い込むことで、花粉やダニなどのアレルギー反応が引き起こされることがあります。
そのため、基準値を超えないようにするには空気清浄機などの粉塵を捕らえることができる製品を使用して対策を取ることが大切です。
一酸化炭素
一酸化炭素の基準値は6ppm以下です。
基準値を超えると、めまいや頭痛、吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。さらに、一酸化炭素中毒を引き起こす危険性も高まります。
二酸化炭素
二酸化炭素の基準値は1,000ppm以下です。
新型コロナウイルスが流行してから、CO2モニターが増えました。一酸化炭素ほどの危険性はありませんが、二酸化炭素の濃度が基準値を超えると、頭痛や吐き気などの症状が現れることがあります。
温度
過度に冷房や暖房を利用すると体調不良を引き起こす可能性があります。室内の温度は18度以上28度以下に調整し、室内と外気の温度差を大きくしすぎないように心掛ける必要があります。
人の体は約5〜7度の範囲で温度調節ができるため、室内と外気の温度差を5〜7度に抑えることが適切です。そのためには、空調機の温度設定を適切に保つことが重要です。
相対湿度
湿度の適切な基準は40%以上70%以下です。
湿度が高すぎると、不快感が増し、作業効率が低下します。また、カビの発生を促進する可能性もあります。
逆に湿度が低すぎると、鼻や喉の粘膜が乾燥し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
快適な湿度を保つためには、室内の湿度に合わせて加湿器や除湿器を使用することが重要です。
気流
適切な気流の基準は秒速0.5m /s以下です。
気流は人の快適性に関係しています。基準値を大幅に上回ると、不快感が生じ、集中力が低下する可能性があります。
快適な気流を確保するためには、空調の風が直接体に当たらないように注意しましょう。また、気流は空調設備の問題の指標となることもあります。
空気環境測定の頻度と評価の実例
2ヶ月に1回行う
建築物衛生法では、空気環境測定を年に6回、つまり2ヶ月に1回行うことが定められています。
空気環境測定は特定建築物に専任された建築物環境衛生管理技術者が、資格を持つ空気環境測定実施者に依頼して行います。
1日に2回測定を行う
空気環境測定は、午前と午後の2回行います。測定は同じ場所で行い、結果は2回の平均値を算出します。
同じ場所で2回測定を行う理由は、状況が変化する可能性があるからです。時間帯によっては人の出入りが増え、埃が舞うこともあります。
また、気温や空調の使用など、環境が変化することで空気の状態も変わる可能性があります。そのため、正確な結果を得るためには、同じ日の異なる時間帯に同じ場所で測定する必要があります。
項目による評価方法の違い
以下のように平均値で評価するものと、瞬時値で評価するものに分かれます。
平均値で評価する項目 | 浮遊粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素 |
---|---|
瞬時値で評価する項目 | 温度、相対湿度、気流 |
測定例
以上を踏まえてある事務室の空気環境の測定結果の一部を見てみましょう。
項目 | 1回目 | 2回目 | 結果 |
---|---|---|---|
一酸化炭素の含有率(ppm) | 1.5 | 3.5 | 2.5(平均値) |
二酸化炭素の含有率(ppm) | 1,100 | 1,200 | 1,150(平均値) |
温度(℃) | 22.5 | 23.0 | 22.5, 23.0(瞬時値) |
相対湿度(%) | 30 | 35 | 30, 35(瞬時値) |
この場合、適合していないのは二酸化炭素と相対湿度となります。
空気環境測定のポイント
測定する時間
空気環境測定は、建物の使用時間中に行います。つまり、営業時間内に行う必要があります。
建物の休館日に測定が行われるものかと思いきや、実際には通常の業務時間中に行われ、そのときの空気の状況を評価します。
測定場所
建築物環境衛生管理基準では、各階の事務所(居室)の中央部での測定が規定されています。ただし、正確な居室の空気環境を把握するためには、空調方式や配置などを考慮して測定場所を選定することが重要です。
ただ、最近はプライバシーやセキュリティの問題から、入口付近での測定が一般的になっています。
測定の高さ
測定は床から75cm以上150cm以下の一定の高さで行う必要があります。
この範囲内で測定を行います。
測定場所の決め方
大きい建物が測定対象となる場合、必要な測定箇所の数を確認する必要があります。
一般的な目安として、東京都の指針では建物の広さに応じて測定箇所の数が定められています。例えば、建物の広さが3,000㎡の場合は6箇所、10,000㎡の場合は12箇所の測定が必要です。この基準に従って各階に1箇所または2箇所の測定箇所を設けることが一般的です。
測定には時間がかかる
通常、1箇所(測定点)につき測定に3~5分ほどかかります。測定時間以外に移動時間が掛かりますので、10箇所の測定を行う場合、10箇所×30分で合計5時間の測定時間が必要です。また、測定結果を報告書にまとめる作業も含めると、ほぼ1日がかかってしまいます。
人数が多ければ時間を短縮できますが、その分、人件費がかかります。
空気環境測定を行うのに必要な要件と資格
一般的に、空気環境測定は専門の業者に依頼して行われます。
業者は空気環境測定を仕事とする場合、都道府県に登録する必要がありますが以下の物的要件と人的要件を満たさなければなりません。
物的要件
必要な機械や器具を所有していることが求められます。具体的には、浮遊粉じん量測定器、一酸化炭素検定器、二酸化炭素検定器、温度計、乾湿球湿度計、風速計などが必要です。
人的要件「空気環境測定実施者」
「空気環境測定実施者」と呼ばれる専門の資格者を配置する必要があります。
兼任は認められていません。
空気環境測定実施者は、建築物衛生制度の一環として、ビルや工場内の空気環境を測定するための資格です。この資格を取得するには、空気環境測定実施者講習を受講し、試験に合格する必要があります。
空気環境測定実施者は、上述の測定項目、建物内の空気の流れ、温度、湿度、粉塵の量などを調査し、管理します。収集したデータを整理し、管理基準と比較して問題点を特定します。そして、これらに基づいた評価や特記事項を提案します。問題点については原因を調査し、適切な改善策を明確にして処理します。
空気環境測定実施者は、職場の空気と建物内で働く人々の健康を守る重要な役割を果たしています。
空気環境測定の料金
当社の料金は以下の通りです。
1箇所(測定点)に1回の測定で1P(ポイント)とし、そのポイント数で決まります。なお、1箇所につき、1日2回測定を行いますので、1箇所あたり2P必要になります。
外気を除く 6Pまでの基本料金 | 16,000円 |
---|---|
7P以上 | 1Pあたり1,000円 |
例)10箇所(測定点)のご依頼の場合、必要なポイント数20P(10箇所×2回/日)
料金 | 基本料金16,000(円) +14(P) × 1,000(円) = 30,000(円) |
---|
他業務との組み合わせにより割引可能ですので、詳しくはお問い合わせください。
※税抜価格です。
当社の強み・メリット
当社は空気環境測定も行っており、以下のような強みがあります。
- 特に愛知県においては拠点数が多く、何かあった時にすぐに駆け付けることができます
- 創立1955年以来、長きに渡り培われた圧倒的な経験値を持ち、信頼していただけています
- エコチューニング事業所認定・エコチューニング技術者がいるため、省エネ知識も豊富です
- 総合ビルメンテナンス企業として、建物にまつわる悩みごとをトータルでご相談お受けし、解決できます
下記リンクからぜひぜひコニックスまでお問い合わせください。