ビルメンテナンス
ビルのBCPとは?防災・復旧・事業継続のための基本的な知識を解説

今後発生しうる災害やパンデミックなどの緊急事態に備えて、ビルのBCP(事業継続計画)対応も強化したいと考えるビル管理者の方は多いのではないでしょうか。
しかし、何から手をつけてよいか分からず、なかなか具体的な施策を進められない方もいるでしょう。この記事では、ビルの管理者の方に向けて、ビルのBCP対応を強化するために知っておきたい基本的な知識を解説します。
BCPとは
BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)とは、企業などが災害・火災やパンデミックなどの緊急事態に遭遇した際に、被害を最小限に抑えながら、中核となる事業を継続または早期復旧させるために定めておく計画のことです。
日本では、2004年の新潟県中越地震などをきっかけに重要性が認識され、2011年の東日本大震災で大きく注目されるようになりました。
近年も、新型コロナウイルスの感染拡大や、2024年の能登半島地震発生、南海トラフ地震等の災害が今後予想されることなどから、緊急事態に備えてBCPを策定する重要性は高い状態にあります。
これまでBCPは企業を中心に策定が進められてきましたが、企業が入居するビル自体にも、高い耐震性や安定した電力供給などBCP機能の充実を求める強い需要があります。
ビルのBCP対応に注目が集まる状況

オフィスビルなどに入居するテナントにとって、「ビルがBCP対応をしているか」は、近年でも非常に優先度の高い選択条件となっています。
例えば、日本政策投資銀行が公開している「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024」では、テナントのオフィスビル選択条件のトップは「災害への備えの充実度(耐震性・水害への対応、BCP対応等)」であり、97.5%のテナントが重要度の高い項目として回答しました。
参考:オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024|日本政策投資銀行
今後テナントの需要に応えていくためにも、ビルのBCP対応は重要であると言えます。
BCPで想定する緊急事態の例
BCPで想定する緊急事態は地震や風水害などの災害に限らず、感染症の拡大や、テロ事件、事業継続に必要な資源・物資の途絶など多岐に渡ります。
まずは、管理しているビルで想定される緊急事態として何が考えられるか整理してみることが大切です。ここからは、BCPで想定する緊急事態の例をいくつか取り上げ、紹介します。
地震・津波・風水害などの災害
日本はプレートの境目に位置する島国で、地震・津波・風水害などの災害リスクが高い国です。
近年は特に、広い地域に被害が及ぶと予想される南海トラフ地震への警戒が高まっています。南海トラフ地震では、当社が所在しサービスを提供する地域でもある愛知県においても、強い揺れや津波の発生が予想されています。
災害に対して普段からできる備えには、例えば防災管理点検や、建物・設備などの点検、必要に応じた修繕工事など多くの取り組みがあります。
詳しくは下記の関連記事もご参照ください。
火災

火災も、ビルで強く懸念される緊急事態の一つです。過去には多くの悲惨なビル火災が発生しており、2021年にも大阪市北区で死者27人、負傷者1名の被害を伴うビル火災が発生しました。
参考:【コラム】大阪市北区ビル火災を踏まえた予防対策 | 令和4年版 消防白書 | 総務省消防庁
ビルで火災が起きた際、被害を最小限にとどめ、ビル利用者や関係者の安全や財産を守るためには、消防用設備の点検やメンテナンスなどが欠かせません。
詳しくは下記の関連記事もご参照ください。
消防法で義務づけられた消火器など消防用設備点検と報告について解説
感染症の拡大

2019年年末より明らかになった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴って、感染症への対策もBCPの一環として強く意識されるようになりました。
新型コロナウイルスは、2023年に「5類感染症」へと移行され、公的な感染対策の取り組みが緩められたものの、今もなお新規の感染は続いています。
新型コロナウイルス以外にも、いつ新たな感染症が流行するか分からず、感染症拡大をなるべく防ぐための取り組みが、ビル側にも必要です。
具体的な取り組みはさまざまですが、一例としては設備などの抗ウイルス加工や非接触型の入退室管理システム導入などが挙げられます。
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必要な資源・物資などの途絶

ビルの運営に必要な資源・物資などが、災害などの何らかの事情で途絶する状況に備えることも大切です。
例えば、十分な備えのない状態で停電や断水などが発生すると、ビルの運営やテナントの活動が困難になってしまいます。
停電や断水などが発生した際の対応を事前に確認したり、太陽光発電でエネルギーの一部を生産したりするなど、対策はいくつか考えられます。
詳しくは下記の関連記事もご参照ください。
ビルに太陽光発電を導入するメリット・デメリットを分かりやすく解説
BCPに取り組むうえで重要な考え方
BCPの策定方法や基本的な考え方に関しては、すでに多くのガイドラインや参考書が出ています。具体的にBCP対応を強化していくためには、そうした資料の参照も必要でしょう。
ここでは、BCPの取り組みにあたって重要な考え方を簡単に紹介します。
人命を最優先にする
当たり前のことではありますが、BCP対応を強化していくにあたって、人命は最優先にするべきです。災害や火災などの緊急事態にあたって、ビルに関わる人の命を守れるよう計画・対策していかなければなりません。
人命は一度失われれば取り返しがつきません。また、ビルの利用者や関係者の安全が確保できていてこそ、事業の復旧や継続が可能となります。
まず、人の安全を守ることを最優先として、BCPに取り組んでいきましょう。
できることから始める
BCPに取り組むにあたって、できることから始めるのは重要なことです。企業や担当者の中には、完璧なBCPを求めるあまり、なかなか取り組みを進められない方もいます。
目標が高すぎて手が止まってしまうくらいであれば、できることから積み上げて改善を重ねていった方が、いざという時に役に立ちます。
「やらなければならないことが多すぎる」と感じる時もあるかもしれませんが、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。
緊急時は平時と同じ状況ではないことを想像する
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、緊急時は平時と同じ状況ではないことを想像するのも大切なことです。
例えば、大規模な強い地震が発生して、ビルのエレベーターが停止したとして、業者が平時と同じくらいの時間で駆け付けられるとは限りません。
業者が担当する他の多くのビルでも同様の状況が発生していたり、そもそもビルまでの道路が寸断されていたりする状況も考えられるからです。
また、同様にビル内で負傷者が発生したとしても、救急車がすぐに到着するとは限りません。
緊急時の状況を正確に予想することは、誰にとってもほとんど不可能です。しかし、平時と同じ状況にはならないことをなるべく想像しつつBCPに取り組むのは大切です。
ビルのBCPに取り組む一歩目
BCPの具体的な取り組み方に関して、取り組みの一歩目としては自治体が発信する防災情報の確認をおすすめします。
都道府県や市町村などの地方自治体は、防災計画やハザードマップなどをまとめており、公式サイトなどで公開しています。
例えば、当社が所在する名古屋市では以下の資料などが公開されています。
災害発生時の被害想定や、被害が予想される地域が示されており、BCPの取り組みに役立ちます。まずは、管理しているビルにどのような災害被害のリスクがあるか確認してみましょう。
また、内閣府がまとめているBCPの事業者向けガイドラインなどは下記のリンクから確認できます。
当社の強み・メリット
総合ビルメンテナンス企業である当社は、様々なビルにまつわるメンテナンス業務を一手に引き受けることができ、災害や火災などの緊急事態に備えた建物・設備の点検・メンテナンス業務でお力になれます。その他、当社には以下のような強みがありますので、ビルメンテナンスに関して何かご相談がありましたら、コニックスに是非ご相談ください。
コニックスへの問い合わせ
- 総合ビルメンテナンス企業として、建物にまつわる悩みごとはトータルでご相談をお受けすることができ、解決が可能です。
- 施設管理のベストパートナーであり続けられるよう、変化を恐れずチャレンジする文化(マインド)が根付いているため、より良いサービスを提供することができます。
- 創業(1955年)以来、長きに渡り培ってきた圧倒的な経験値(ノウハウ・スキル)を持ち、多種多様な顧客や施設利用者様から高い評価を得ています。
- エコチューニング事業所認定・エコチューニング技術者がいるため、省エネ知識も豊富で、水道光熱費といったランニングコストの軽減にも貢献できます。
- 特に愛知県においては拠点数が多く、何かあったときにすぐに駆け付けるといった充実した支援体制が整っています。